困ったちゃんの「SFA」とは

「SFA」って聞いたことありますか?
Sales Force Automationの略です。いわゆる営業支援システムというやつです。オートメーションなんていうと”自動”で営業して売ってきてくれるような誤解を与えますが、あくまで営業事務を支援するだけです(笑)
簡単に言えば”営業日報報告システム”。営業マンが書く日報を集計して上司に報告するシステムなんです。多くのソフトウェアメーカーがSFAシステムを開発して販売していますが、機能に多少のオプションはありますが基本的なところは殆ど変わりません。で、これを使うと営業が楽になって売上がドーンと伸びるのか、というのが今回のテーマです。営業職でないあなたも「自分とは関係ないから」なんて言わずにビジネスの基本である「営業」についての話をちょっと聞いてみませんか?

インターネットで”SFAとは”なんて検索ワードでググると山のようにたくさんの項目が引っかかりますが、その多くは広告ページです。
どれも「SFAを導入すれば営業活動が画期的に効率化されるばかりか売上が一気に伸びます」なんていうことが異口同音に書かれています。もしホントだとすれば凄いことだと思いませんか?
日々足を棒のようにして営業に駆け回るもののなかなか結果が出ない。上司からはプレッシャーを受けるし、ノルマは達成できずに給料も頭打ち。何よりも果てしないストレスでメンタルもボロボロ。もはや何をしたらいいのか分からないという声が多くの営業マンから聞こえてきます。

先に書いたとおりSFAの基本は日報システムです。かつて営業マンは営業先を回って得た進捗状況などを都度上司に報告していました。イントラネットが普及してくると業務報告はメールになり上司がそれを集計するようになります。ところが営業担当者が書く報告書は概して内容に具体性がない上に商談の進捗状況にも客観性がありません。従来は上司と直接話しをして上司から「実際のところどうなんだ?」と訊かれると「正直ベースではちょっと難しいかも知れません」などと答えていたことも、目の前に上司の顔が見えないPCやスマホの報告画面には「進捗度:60%、成約可能性:65%」などと入力してしまうのです。
そのデータをSFAシステムは見積書の金額と合わせて「来月の売上見込:420万円」などとはじき出します。これが実際に蓋を開けてみるとほとんどの売上は先延ばしになっていて、当月の売上予算がまったく達成できないという結果に終わることが頻発しました。

そして一番の問題は、営業担当者がSFAに細かく入力しても、それを見て得意先への対応を考えるのは今までと同じ人間だということです。
商談の進捗が思わしくない時、その対策は多岐にわたります。得意先の要望と見積もり金額に乖離がある場合でも、その要望が相手の希望している条件とは関係が薄いと判断した場合、得意先とその要望について再度検討し直して金額の差を埋めていくのか、次回のさらなる受注に繋げるために今回の見積もりで泣くのか、対応策はそれこそ無限にあります。そもそも受注した事自体に無理があったということだってないわけではありません。SFAであれ報告書であれ対面の報告であれその対策を考えるのは人間であることに変わりないということです。

オートメーションというとシステムが自動的に答えを出してくれるような印象を受けますが、受けた報告に対する対策を指示するのは相変わらず上司の仕事です。システムは何も考えてくれません。今でこそAIが話題になっていますがこれがSFAの世界に導入されて実用化されるのはもう少し先のことでしょう。なぜなら最初にAIに営業を教え込むのは他ならぬ人間なのですから。

システムとはある定形業務を繰り返し間違いなく行うことには優れていますが、都度異なる要件に最適な答えを出すことは今のところできません。つまりシステムがあれば集計したり分析することは効率化できますが、システムが”答え”を出すことは今のところできません。とりあえず答えを出せるのはやはり上司であり人間なのです。しかもシステムを通した担当者と上司のやり取りでは、担当者と上司がお互いにアイデアを出し合うということが効率的にできないことが多々見受けられました。これも大きなディスアドバンテージです。

企業にSFAを導入しても結局は現場の営業をよく理解して知見のあるマネージャーがいなければ営業を指南することもできずに無意味なデータだけが蓄積され、担当者にも上司にも効率化はもたらされず結果も出ることがないということがおわかりいただけたかと思います。肝心なのは上司や担当者の日報の手間を省くことではなく、効果的な営業方法を教えてくれて結果を出せるようにしてくれるマネージャーを育てるということなのです。