恋する乙女

人の第一印象が他人に与える影響は想像以上に大きい。最初の対面で好印象だった人はその後も何かにつけてよく解釈されるが、悪印象だった人はその後も悪い方に捉えられてしまうことが多い。つまり第一印象だけでいい人か悪い人かが判断されるということだ。そしてそれを覆すことは簡単なことではない。
ボクは子供の頃から人に与える第一印象でいい思いをしたことがない。学校の新学期にクラス替えがあるとなかなか友だちができなかった。しばらく経ってやっと出来た友だちに聞いてみると「最初はとっつきにくくて話し難そうなヤツだと思った」と言われることが多かった。いつまでも友達がいないのもツマラナイので、こちらから周りにいたグループに近づくことをした。3ヶ月もした頃になって「意外と明るいヤツじゃん」という印象に変わったのだという。最初の印象が悪かっただけにちょっとでも印象を変えることができれば、最初は暗かった印象が今度は逆に有利にはたらくこともあった。いずれにしても自分の第一印象にいい思い出はない。

人に与える第一印象を自分でコントロールすることは難しい。周りに暗い印象を与えることが分かっているからといって最初から無理に明るく振る舞うと「変に軽いヤツ」という印象だけを残しがちだ。そして”変に軽いヤツ”に与えられるポジションは”パシリ”と昔から相場が決まっている。一度パシリになってみたこともあるがあまりにも面白くなかったのでその時の友達とは疎遠にした。

これは個人的な考えに依るところが大きいが”暗い”よりは”明るい”、”消極的”よりは”積極的”、つまり”ネガティブ”よりは”ポジティブ”な印象を与えられたほうが一般的にいいことが多いように思う。
ボクが青春時代を送っていた頃、当時のフォーク歌手のイメージは得てして”ネクラ(根暗)”であり、フォークギターなど持っていると屁理屈ばっかり言ってツマラナイやつと思われがちだった。女の子にモテるために始めたフォークギターがアダになった。

昔から、恋をすると女性は綺麗になると言われる。そしてそれはかなりの確率で間違っていない。たぶん幸せな気分で微笑んでいることが多くなるからではないだろうか。
男女を問わず控えめな微笑みは人を魅力的にする。しかめっ面や仏頂面を見て楽しい気分になる人は比較的少ないと思う。
何事にも魅力はないよりはあったほうがいいことがありそうである。人は魅力的な人の周りに集まり、魅力がない人からは距離を置くことが多い。孤独が好きな人にとって自分の魅力は邪魔になるだろうが、そうでない人にとって”魅力”は威力だ、いや魅力だ。

人が集まれば知恵が集まる、情報も集まる。一人だけでは解決できなかったことが解決できるかもしれない。
災害などの不幸なことがあった時、笑顔で頑張っている人を見て「元気をもらった」などということがある。ボクは、元気や勇気はもらうものではなく”元気になる”、”勇気を出す”ものだと思っている。誰かから施しを受けるものではなく自分で頑張って手に入れるものだと思っている。しかし笑顔の人を見ると、何か嫌なことがあっても明るい気分になる事がある。これを「元気をもらう」と言っているんだろうなぁと思ったりする。

しかし自分が嫌な気分になっていたり気力をなくしていたりする時、自ら微笑んでいることが難しいこともある。
どうすればいつも微笑んでいられるのだろう。

それにはひとつ大切なことがある。腹を立てないことだ。
もちろん生きていれば頭にくることもある、腹が立つこともある。なぜ腹が立つのだろう?

恐らくそれは相手に対して何かを期待するからではないだろうか。相手に期待していたことが裏切られると腹が立つ。「何で出来ないんだ!」と思う。「もっと努力して工夫しろ!」と思う。しかし最初から相手に期待しなければ腹も立たない。たぶん出来ないだろうなぁと思っていればたとえそれに失敗したとしても「やっぱりな」と思う。

つまり腹が立つということは期待していることの裏返しだ。何も期待していない相手には腹も立たない。だから日本人は国会議員にも腹を立てる人が少ない。政権与党の支持率だってそんなには下がらない。国会議員になど国民は誰も何も期待しなくなっている証拠だ。

特に好きな、信頼したい人には過度な期待をしなければいい。期待しないでいて成功すればそれは楽しい。楽しければ微笑む。いつも楽しそう振る舞っていたいものである。

どこかの外食チェーンもCMで言っていたが、スマイル=0円なのだから。