三日坊主

子供の頃から何をやっても長続きしなかった。日記など元旦に始めたものの三ヶ日続いた試しがない。小学生の頃ハマっていた古切手集めも3年ほどで飽きてしまった。思えばあの頃から続いているものなど何もない。
中学高校の頃はアマチュア無線をやっていた。秋葉原でパーツを買ってきては無線機を作ったりアンテナを作ったりした。最近ではアマチュア無線など知らないという方も多いだろうが簡単に言えば個人で無線局を開局して他の国や離れた場所のアマチュア無線家と交信する趣味である。その歴史は随分と長く、アマチュア無線家が発明した八木アンテナなどは今でも一般家庭用の地上波デジタルのTVアンテナとして最前線で使われているほどだ。
しかしいつの間にか飽きてしまった。どうしてかと訊かれても飽きっぽいのだから仕方がない。

20年ほど前からダイビングをやっているがこれはボクにしては珍しく未だに飽きていない。飽きてはいないが最盛期には毎週通っていた伊豆の海にも最近では年に数回行くだけになってしまった。毎週行っていた頃にはある意味惰性で行っていたところもあったように思うが、最近では行こうと思っても何となく億劫になってしまう。行けば行ったで楽しいことは分かっているのだが何となく足が遠のいてしまいがちだ。

「継続は力なり」とはよく言われる。続けることはそれだけで労力が必要なことで誰にとっても苦痛が伴うということだろうか?好きなことならいざしらず嫌いなことならなおさらだ。そして今や好きなことですら続かないというのはどういうことだろう?

毎回「やろう!」と思い立って始めるには気力が必要だ。何もしていない状態だったり他の何かをしている状態から状態を変化させて行動を起こすには気力がいる。気力はモチベーションだと思っている。
毎朝3キロジョギングしようと思う。でも雨が降っているとやる気がなくなって「今日はいいや」ということになる。腹筋運動を100回やろうと決めてみるが飲んだ次の日は起きるのが遅くなって「明日200回やればいいや」ということにしてやらない。当然次の日もやる気が起きなくなってやめてしまう。
毎日は一日一日違うのでやる気が起きる日と起きない日がある。やる気が起きない日はいわゆる無気力の時だ。そんな時は何もしたくないし何もやる気にならない。やる気が起きないからやらない。だから続かないわけだ。

それならやる気が起きない時にもやるにはどうしたらいいのか?
お腹が空けばご飯を食べるしもよおせばトイレに行く。精神的にマイッていて食欲すら湧かないときでもトイレには行かない訳にはいかない。これは生理現象だ。でも生理現象は生き物が生まれた時から持っている反応であって後から身に付いたものではない。「パブロフの犬」の実験で有名な”条件反射”のような後天的な反応もないわけではないが、これだって先天的な生理現象と強く結びついていなければなかなか現れるものではない。
平日は朝になったら嫌でも仕事に行かなければならない。これは生理現象ではないが収入がなければ食欲やその他諸々の生理現象を満たせなくなるからやる気にならなくても仕事に行く。自分に対する一つの義務になっている。やる気が出ようが出まいがやらなければならない。

残るのは”習慣”だ。
歯磨きを1日くらいしなくてもたちどころに虫歯になるものではないし朝、知り合いと顔を合わせた時に1度くらい挨拶をしなくたってすぐに喧嘩になるものでもない。でも私たちは毎朝毎晩歯を磨くし人と会えば挨拶をする。習慣だからだ。
習慣は半分無意識の行動だ。習慣になれば意識せずにやろうとする。朝になれば布団を出て着替え、顔を洗って朝食を食べる。大抵の人は意識して考えることなしに行動する。頑張って努力して顔を洗おうと思う人は少ない。

ただし習慣になるまでは”義務的に”やらなければいけないような期間を作る必要がある。逆に、義務的にやらなければいけない期間があるならその期間を習慣化する期間に充てるのもいいだろう。例えば治療のために何かを毎日やらなければいけない場合などだ。その間は”習慣にすること”を義務にして目的にすることがたいせつである。これを強く思っていなくては習慣にすることはできない。
しかしこれが一旦習慣になってしまえばそれは喜ばしいことだ。これからは気力を奮い立たせて辛抱しながらやる必要がなくなるのだから。

でも習慣は何かの都合で途切れると習慣でなくなることがある。習慣がちょっとでも途切れるとまた以前のサボりぐせが頭をもたげてくる。その時はまた習慣になるまで頑張って続けなければいけなくなる。だから習慣を続けたければ途切らすことなく毎日続けたほうが逆に楽なのである。

そして悪い習慣があるならそれを断ち切らなければならないこともある。ところがただ単に悪い習慣をやめることは難しい。なぜなら悪い習慣は努力して頑張らなくても続けられるものがほとんどだからだ。だからこそ悪い習慣になってしまったともいえる。
それならば悪い習慣の代わりに良い習慣に入れ替えるほうが簡単だ。同じ時間にやることを変えればいいだけなのだから。