キレイゴト症候群

「議員定数の削減は喫緊の課題だ」と我が国の総理大臣はよく言っている。「そんなことがあったら総理大臣どころか国会議員も辞めますよ」と言った総理大臣もいる。でも実際に”そんなこと”があっても裏で隠蔽工作をさせて自分にはまったくその気がない。これをキレイゴトと言うのかも知れない。
ネットで”キレイゴト”を検索すると「出来もしないこと、やるつもりもないことを言うこと」とあった。たしかにそんなニュアンスだ。自分が普段思ってもいない”正論”を言って言い逃れようとする。
選挙前にはすべての候補者が白々しい御大層な理想論をブチ上げるが実際に当選したらそんなことはなかったかのように振る舞う。政治家の世界は”キレイゴト”で出来ている。だから誰にも信用されなくなる。

政治家の話をしてもつまらないので話題を変えよう。
何かの問題が起こると普段は不誠実なくせに急に正論を吐く人がいる。正論を吐く時は誰か他人のせいにしようとしているときだ。自分は何もせずやる気もなかったくせに失敗した結果を見た途端に「だから最初から言ってるだろ!」などと言い始めたりする。それまで一言も発言しなかったくせに誰か他の人に責任をなすりつけようとする。こういう人はリーダーにふさわしくない。そんな人の元では組織が回らないし誰からも信用されないからだ。

人が急に考えを変えるには何らかのきっかけがある。多くの場合は急激な環境の変化や外部から大きな刺激を感じたりしたときだ。諦めていたことや自分とは関係ないと思っていたことがいきなり近くに見え始めたときに、考えを180°転換して歩き始めることがある。それが90°の時もあれば300°のこともあるが、いずれにしても今まで視界に入っていなかったものが見えた時だ。
先日も触れたが”見えなかったもの”が見えた時も視界は大きく広がる。

先日テレビのクイズ番組で「どうして男の平均寿命は女より短いのか?」という問題があった。番組では「男は元々女だったのに無理して男になったから」を答えとしていたが、ボクは以前にその説を唱えている福岡伸一さんの著書でそれについて読んだことがある。それは「できそこないの男たち」というタイトルで、哺乳類などが進化の過程で単一性で繁殖していたところから訳あって”オトコ”を作り出した経過と痕跡をシロウトにもわかりやすく解説していた。だからどちらが優れているというようなゲスな話ではない。
今でも性別のない生き物はたくさんいるし生まれてから成長の過程で性転換する生物も多い。10年ほど前にこの本を読んだ時にボクの中の男と女の性の概念は大きく変わった。それは人間の世界でいうジェンダーやLGBTなどという問題とは全く関係ないところで、生き物としての性のあり方について今まで持っていた固定概念が180°転換したように感じた。

今まで勝ち負けだけにこだわっていたくせに急に寝返っていい人ぶる人がいる。普段から「これだからオンナはしょーがねぇ」なんて言っていたオヤジがある日突然「女性の人権を守ろう」なんて話を始めても誰も聞く耳を持たない。なぜなら男女のどちらが優れているのかなどという議論には所詮根拠がないし、どこかでそういう話を吹き込まれた結果だとしたらあまりにも脳みそが軽すぎる。そんな話を急に始めたらそれは自分のご都合主義だろう。そんなことはまったく思っていないくせにそう言っておいたほうが自分にとって得だと思ったからに過ぎない。哺乳類の進化の話とは全く関係ないことだ。こういう人は信用するに値しない。

人に信用されるには正しく行動することだ。そして正しく行動することを習慣にすることだ。いくらキレイゴトを並べても人は信用しない。自分がキレイゴトを言う人を信用しないのと同じように。人は常に正しい行動を続ける姿を見て初めてその人の内面を見ようとする。そこから信用するに足る人なのかどうかの判断が始まるわけだ。

でもボクはたまにしか正しい行動をしないから他人からは”キレイゴト”を言っているようにしか見えないに違いない。