情報のサンドイッチは美味しい!

”KY”といえば”空気読めない(ヤツ)”の略でした。しかし今のJK(女子高生)にとってそんな言葉は死語です。誰も使いません。使っているのは若者ぶったオッサンだけです。
こういう言葉を聞くにつけ”自称”文化人風のオジサンやオバサンは「日本語が乱れている!」と目を吊り上げたりします。しかし誰しも子供の頃には自分たちだけに通じる、いわば暗号のような言葉を使いたがった時期があったのではないでしょうか?
例えば「コンダラ」といえばグラウンドを均すローラーのことです。といってもごく限られた世代だけに通じる言葉です。
50年ほども前のこと、当時テレビで(といっても白黒でしたが)放映されていたスポ根野球マンガ「巨人の星」を見ていた世代にだけ分かるのです。番組のオープニングでテーマ曲が流れています。♪思い~込んだ~ら…♪という歌詞のところで画面は、主人公の星飛雄馬がグラウンドを平らに均すローラーを重そうに引っ張る場面が映し出されます。当時小学校低学年だったボクらが”ローラー”などという言葉を知っているはずもなくその画面を見ながら

♪重い~コンダ~ラ…♪

だと思いこんでいました。だからボクは学校の校庭に置いてあるローラーのことを「コンダラ」だと思っていたしクラスの友達も皆なそうでした。あの頃夕方に放送されていた「巨人の星」を見ていた世代にしかわからない隠語です。

新入社員たちが入ってくると彼らにしかわからない隠語が社内で聞かれるようになります。オジサンオバサンは自分たちにはわからない言葉が多用されるのを聞いて”言葉の乱れ”だとか”ゆとり世代”などといって若者を揶揄します。しかしそんなにムキになることはありません。彼ら同士の会話に無理やり割り込もうとするからコンプレックスを感じるのです。彼ら彼女らはお互いにその言葉でわかり合っているのですからそれを非難することはありません。しかし、しかしです。
社会一般ではそんな言葉遣いが通用しない世代ともコミニュケーションを取らなければいけない場面が出てきます。上司や先輩、お客様などとも意志の疎通がどうしても必要になるわけです。まず最初に教え込まれるのは新入社員研修でも必ず教えられる”ホウレンソウ”でしょう。

報告(ホウ)、連絡(レン)、相談(ソウ)は確かにサラリーマン生活の中では基本のキです。とりわけ新入社員の頃は社内でも周囲の状況がわからないのですから、これらを頻繁に確実にやらなければ仕事にならないし大失敗にも繋がります。いや新入社員に限らず組織に所属するサラリーマンでいる限り免れない義務だともいえます。それなのに新入社員教育のときには口が酸っぱくなるほど叩き込まれるのに、数年もするとすっかり忘れてしまっているのか、自分勝手に事を進めて怒られている中堅サラリーマンが増えます。
まずは報告(ホウ)が満足にできない人が多いのです。

上司「売上はどうなってる?」
部下「まあまあです」
上司「今月の売上は?」
部下「いい感じです」
上司「いくらなんだ?」
部下「えーと、200万です」
上司「先月と比べてどうなんだ?」
部下「伸びてます」
上司「どれくらい?」
部下「結構いい感じです」
上司「先月はいくらだった?」
部下「…。えーーーと、170万です」
上司「何か思い当たることは?」
部下「は?」

「どうなってる?」としか聞かない上司も上司ですが断片的にしか答えない部下も部下です。まず部下が思いを至らせなければいけないのは”上司の仕事は基本的にマネジメントである”ということです。上司は何のために自分に質問しているのかを考えなければ的確な答えができるはずがありません。中には”何となく”質問してくる訳のわからない上司もいないではありませんが、その話はまた別の機会に譲りましょう。
上司は「現状」と「推移(売上グラフの傾き)」「原因」を知って「対策(戦略)」を立てたいのです。それこそが上司の仕事なのですから。
”今”と”先月”を比べることで現状売上とその差から先月からの売上の増減を知ることができます。ですから今の大まかな状況と現状の売上および増減とその度合いを報告すればいいわけです。ここでは大まかな数字が必要です。全体としていい方向に進んでいるのであれば今の施策は基本的に間違っていないことになりますし、反対なら取るべき対策があるということになります。そしてその状況になった思い当たる原因が自分にあればそれを付け加えればいいだけです。

上司「売上はどうなってる?」
部下「伸びてます。先月が170万に対して今月は200万、17%程度の伸びです」
上司「そうか」
部下「今月初旬に実施したGWキャンペーンが功を奏したようです」

つまり

・相手が知りたいこと(傾向)
・その根拠(数字)
・それに対する自分の考え(原因など)

の3つを順序立てて報告するわけです。この例では売上の報告でしたが他の場合でも基本は同じです。簡単に言えば

「情報1」ー「数字」ー「情報2」

のように根拠となる数字を必要とする情報でサンドイッチすればいいわけです。これはプレゼンテーションなどでも使えるテクニックです。

・課題とあるべき姿(ソリューション)
・解決方法とその根拠(数字)
・解決することによるメリット

などという組み立てはソリューションセリングの基本になります。
つまり相手が聞きたいことをサンドイッチにしてまとめて報告・提案することで情報は美味しい状態で相手の口に入るということです。
そのためには相手が何を知りたがっているのかということを理解しておくことが大切です。そしてそれは自分が相手の立場になってみれば分かることなのです。「自分が上司で売上を伸ばしていかなければいけないとしたらどんな情報が必要だと思うだろうか?」ということです。
美味しいものは誰でも嬉しいものです。同じ素材を使うのなら美味しく料理して相手に喜んでもらうほうがお互いにとってメリットが大きいと思いませんか?

少なくとも長い間サラリーマンをやって来たオジサンオバサンは仕事そっちのけで(失礼!)空気を読むことだけをやり続けてきたベテランです。そこらの青二才とは鍛えられ方が違います。空気を読んで相手の立場に置き換えてみて、相手が欲しがっている情報をスマートに届けられるようになったら五月病などあっという間にどこかに吹き飛んで、爽やかな5月の風を感じて仕事ができるようになること請け合いですよ。