デジタルネイティブの逆襲

ボクが初めてパソコンと出会ったのは高校生の時、40年ほど前の話です。1980年頃の話ですからまだWindowsもなくMS-DOSというOSで動いていて、真っ黒い画面にキーボードからコマンドを打ち込んで命令を実行させるというコンピュータでした。MS-DOSではBasicというプログラム言語が標準で使えたので高校生のボクたちは簡単なプログラムを作ってはマイコン(当時はまだパソコンと言わずマイコンと呼んでいた)で動かして喜んでいたのです。当時はまだフロッピーディスクやハードディスクも標準では付いていなかった(別売りで数100万円では売っていたようです)ので作ったプログラムやデータはイヤホンジャックからラジカセのテープに録音して保存する、そんな時代でした。
それから10数年、マイクロソフトからWindows95が発売されると職場でもパソコンが爆発的に普及します。携帯電話などの普及も相まって、その後のパソコンやそれに続くスマホの隆盛は著しいものがあります。

そんな折、ネットのメールマガジンでこんな記事がありました。

「今年の新卒採用からはデジタルネイティブだ!」

つまりWindows95が登場した後に生まれた世代だから”生まれたときからコンピュータを使いこなしている世代”だというわけです。生まれた瞬間にコンピュータを使う赤ちゃんは想像しにくいですからそんなに単純な話ではないと思うんですが、ネットニュースなんてその程度のものですからそっとしておいてあげましょう。
いずれにしてもボクたち昭和30~40年代生まれと比べれば、子供の頃からテレビゲームやファミコン、携帯電話、スマホ、電子プレーヤーなどに囲まれていたのは確かですからデジタルネイティブであることは間違いありません。

ボクはたまたま最初に就いた仕事がコンピュータ関連だったのでその後も自然にパソコンなどに触れる機会も多かったのですが、同世代のパソコンにほとんど縁のなかった人たちはびっくりするほどデジタルとは縁遠い生活を送っていました。ワープロやパソコン、携帯電話が普及し始めた頃には「デジタルデバイド」などと言われてそれらを扱うスキルの格差が社会問題になるほどだったのを覚えています。上司が手書きした書類を若い世代がワープロやパソコンで清書してプリントアウトするなどということが普通でした。そのうちに時代が進むとスキルを習得した中年も増え始め、若い人にそんな仕事を頼もうものなら「自分でやってください!」なんてキレられたりする有り様でした。それでも一切デジタル機器に触ろうとしない人たちも少なからずいたわけです。

そんな状況を一気に変えたのがスマホの登場です。スマートフォンは要するに通信通話機能が付いたコンピュータです。パソコンでできることはそのほとんどがスマホでもできます。ケータイメールはドコモのiモードができてから一応インターネットメールに繋がるようになりましたがスマホはネイティブでインターネットに接続します。通信環境の圧倒的な進歩もあってSNSやWebサイトにもストレスなく繋がります。若い世代でも一部の人のものだったパソコンがほとんどの人が普通に使うものになったのです。今では電車に乗っても老若男女問わず見渡した人の半分以上がスマホを凝視しています。つまり通信パソコンを使っているわけです。

先日、高校時代の同窓会がありました。もちろん世代はボクと同じです。恩師の先生もいらっしゃったわけですが全員がスマホを持っていました。つまり全員がパソコン通信をやっているようなものです。20年前には考えられない状況です。そしてボクたちもその恩恵にあずかっています。そもそも同窓会を開くことになったのも、30年以上も音信不通だった旧友たちをSNSが結びつけたからなんです。
ボクたちの学生時代には携帯電話がありませんでしたから今でもかろうじて調べがつくのは実家の電話番号くらいです。しかし実家が引っ越していたりなくなっていたりすればそれはもうたちまち音信不通です。年賀状のやり取りなどはボクたちの親世代までです。
そんなボクたちも再会した旧友たちと最初にやるのはLINEやFacebookのアカウント、メールアドレスの交換だったりするわけです。

こんな時代になって急に、デジタルデバイドなどと蔑まれていたボクたちがこんなにもデジタル社会の恩恵にあずかる日が来ようとは思いもしませんでした。いやもうこの環境を手放すことができない体になってしまいました。そんなオジサンオバサンを見て、ボクたちもデジタルネイティブって呼ばれてもいいんじゃないかななんて思ったりする今日この頃なのです。