共通点は好感度を上げる

エリザベス二世女王が大好きな王室御用達のチョコレートが、ロンドン市内のスーパーで売られているらしい。79ポンド(約130円)だそうだ。何でもそうだが高ければ美味いわけではないし安いからといって不味いわけではない。要は好みだ。それはさておき、
人は誰かと共通点を見つけると親近感を抱く性質がある。好きなタレントが使っているものと同じものを持ちたくなるファンの心理も同じだ。「〇〇(有名人)が使っている」と言われれば信用度も上がるし、それが自分の好きな人なら余計に一体感や親近感が増す。
別にエリザベス二世女王が庶民の人気を得たいからといって、スーパーで売っている安いチョコに御用達を出したわけではないだろうが、ロンドンの庶民からすれば「女王様が食べているのと同じチョコを自分も食べているのだ」と思うだけで自然に親近感が湧く。

一方で「あなた達とは違うんです」という距離感を出したい場合もある。例えば矢沢永吉さんやユーミンなどの一種のカリスマ性のある人たちだ。矢沢永吉さんは山中湖にスタジオ付きの豪邸を建て、横浜のマリーナには大型クルーザーを持っている。庶民感覚では想像できない豪華さだ。それをもってファンとの距離感を演出してカリスマ性を保っている。しかし、時にはマリーナに停泊しているクルーザーを訪れ、自分で船を洗っている矢沢さんの姿も見られている。それほどの人だから人を頼んで洗わせることもできるだろう。それを自分で洗っている。ガレージで家の車を洗うお父さんのようにだ。もちろん大型クルーザーと自家用車の間には何百倍もの値段の違いはあるが「自分で洗う」という行為は一緒だ。きっと矢沢さんはそんな姿をファンに見られるのは本意ではないだろうが、偶然にもそれを見た人は「矢沢さんって自分の船を自分で洗うような誠実な人なんだぁ」と親近感を抱くかも知れない。
共通点は相手との心理的距離を縮め、親近感を抱かせる。

ある種の芸能人は、自分がちょっとでも売れて人気が出ると、途端に一般人では手に入れにくいものを買って自慢する。別荘然り、家然り、腕時計然り、絵画然り、宝飾品然り、レストラン然り、お取り寄せ然り。いや本人がホントに好きなら好きにすればいいと思う。ただお笑い芸人のように「庶民感覚」をウリにしている人が「あなた達とは違うんです」感を臭わせるような行動をすればファンは「何だよアイツ、チョッと売れたからってエラそうに」などという謂れのない誹謗中傷を受けたりする。
それは戦略が間違っているからだ。一般にお笑い芸人は、一般人からの好感度が人気につながっている。自分というキャラクターが目指している方向とファンから見た方向がズレてしまっているのだ。素朴な郷土料理を出す居酒屋をギンギラギンの内装にしてしまうようなものだ。

仲良くなりたい人やお客に対して、好意を持ってもらう一番簡単な方法は共通点を見つけることだ。「先週、家族でディズニーランドに行ったんですよ」でもいいし「うち子もこの春から小学生なんです」でもいい。共通の話題になるようなことを一つでも見つければ、それは相手からの、そして自分から相手に対する親近感と好意になる。