北海道に鈴木さんという知事がいる。鈴木直道、1981年(昭和56年)生まれ、31歳。別に知合いでもなんでもないけれど、若いのになかなかのやり手だと思っている。高卒の東京都職員から財政破綻した北海道夕張市の市長を2期務め、夕張市の再建にも尽力した。
中でもJR北海道の夕張支線の廃止にあたっては、「座して廃線を待つのではなく『攻めの廃線』を提案した」と語り、逆にJR北海道から夕張市の交通政策への協力やJRの資産の提供や施設の利用といった条件を引き出した。
誰でも”負け馬”には乗りたくない。財政破綻した地方自治体を再建に果てしない困難が伴うことは誰にでも簡単に想像がつく。映画「幸福の黄色いハンカチ」にも登場した炭鉱の町だが、日本のエネルギーの中心が石炭から石油に変わっていく中で、九州などの炭鉱とともに廃れていった。その野放図に広がった町をコンパクトシティとして蘇らせた手腕は大向こうの政府首脳にも評価された。
日本では町の発展や再生というとすぐに経済発展に目が向きがちだ。しかし鈴木知事は違う方向も見ていた。経済発展することは確かに素晴らしい。高度経済成長は日本の経済発展が原動力だった。しかし少子高齢化で日本全体の人口が減る中で、果たして経済発展だけが生き残る道なのだろうか。もちろん過疎に苦しむ町を見殺しにしていいとは全く思わない。しかしかつての50年前の姿に蘇らせることが、そこに暮らす人々にとって本当の幸せなのだろうか。
東京への一極集中が今も続いている。地方で生まれ育った人が都会に憧れる気持ちはボクにも分からないではない。特に若いうちはのどかで刺激のない生活は耐えられないほどに退屈だ。しかし大都会に、特に地方から東京に移り住んで何年か経った時に「やっぱり東京が最高!」と感じている人がどれくらいいるだろうか。
ラッシュアワーの満員電車で押しつぶされそうになりながらの長距離通勤。通勤時間が1時間2時間という話を大阪の友人に話しても信じてもらえない。大抵の大阪人が通勤に費やす時間は30分程度だ。しかし東京では埼玉、千葉、神奈川から1時間以上かけて通ってくる人は多い。
それが証拠に神奈川県の有効求人倍率はコロナ前の2020年1月でも1.08で沖縄県の1.11を下回って全国最下位だった。つまり神奈川の人は東京に働きに行っており、神奈川県には仕事がないのである。
同様に千葉県は39位、埼玉県は41位、と低迷している一方で東京都は全国1位の1.96倍となっている。誰もが東京東京と波打つように集まってくるのだ。こんな状況で都市部への集中を後押しするような掲げていては問題解決にはまったくならない。だから地方創生を、地方の経済発展を促そうとしても今の東京一極集中の流れの中では焼け石に水だ。東京に、大阪に、福岡に、札幌にないものを魅力的にする何かを生み出さなければならない。
しかしそれが地方都市への一極集中になっては意味がないし、どんなに頑張ったところでリトルトーキョーは所詮全国にある〇〇銀座と同じだ。同じ土俵で勝負していたら”東京”を超えることはできない。
そんな時にやる気のあるリーダーにみんなはついていく。彼が「第2の東京を目指そう!」と言っていたら北海道は道を踏み外してしまうだろう。ただ道民には道民の誇りがある。北海道を救うのは道民だ!道民割で旅行して北海道の観光を救え!といえば道民は動き出す。それが地方を動かす力になるのではないだろうか。
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