超ド級

コミニュケーション

超ド級というとものすごくデカかったり強力なことを比喩するときに使う言葉です。ドを漢字にして「超弩級」などと書くこともありますが、そもそも超ド級の”ド”って何なのでしょう?しかしチコちゃんは…、いやチコちゃんでなくてもボクも知っています。超ド級のドは「ドレッドノート」のドです。つまり略さず書けば「超ドレッドノート級」というわけです。ではドレッドノートとは何でしょうか?

ドレッドノートは明治時代に建造されたイギリス海軍の大型戦艦の名前です。当時は革新的な技術と大きさを誇る最新型の戦艦でした。その後イギリス海軍はドレッドノートと同じクラスの戦艦を3隻か建造するのですがそれを総称して「ドレッドノート級戦艦」と呼んだわけです。やがて軍拡競争とともにドレッドノートを凌ぐ大型戦艦が作られるようになったときにそれらを日本では「超ドレッドノート級」略して「超ド級」と呼ぶようになりました。そのドレッドノートという戦艦があまりにも強力だったため「超ド級」という言葉が”とてつもない”という意味でも使われるようになったと言います。

でも日本語にはこれとは別に何かを強調する意味で”ど”が付けられることがあります。曰く、ど根性、どえらい(どえりゃ〜)、ど田舎、どスケベ、…。もしかしたらこれらもドレッドノートが由来しているのでしょうか?しかし手元の資料では単に”強調表現の俗語”としか書かれておらずその由来までは確認できませんでした。

「ダーリンは外国人」というマンガがあります。これはひょんなことから外国人と結婚した作者の普段の生活ぶりをマンガで描いているのですが、その中には外国人ならではの視点から日本語を捉えた笑い話がたくさん出てきます。日本人はとても驚いたときに「度肝を抜かれた」と言ったりします。この「度肝」って何なのでしょう?肝はキモですから内臓のことでしょう。度肝を抜かれる、つまり内臓を取られることがなぜ”驚く”につながるのかはよくわかりません。でもダーリンは平然と言ってのけます、「抜かれるなら度肝がいいよね」(笑)

まじまじと考えると日本語には不思議がいっぱいです。でもその一つ一つについて私たちはほとんど考えたことがありません。「だって昔からそう言ってたから…」「だってそれが普通だから…」。でもおそらくその一つ一つには歴史があって背景があって今の言葉になっているのだと思います。

「最近の日本語は乱れている」という人がいます。テレビなどではインタビューを受けている人がラ抜き言葉を使っていてもスーパーインポーズ(字幕)では修正されて頑なにラ抜き言葉を排除しようとしますが実際にはほとんどの人がラ抜き言葉を使っていますし、「全然大丈夫です!」なんて普通です。そんなときに「”全然”の後には否定が入るんだよ」などと言っても仕方ありません。でもそれを知っていて使うのと知らないで使うのでは教養に大きな差が出るのではないかと思うのです。

「食べれます」はラ抜き言葉です。正しくは「食べラれます」です。でも「(〜を)やれます」というのはラ抜き言葉ではありません。無理やり”ラ”を入れてしまうと「やられます」となって受動態で別の意味になってしまいます。そのあたりの区別すらつかなくなってしまった日本人が大人でも3割近くいるということが日本人の日本語の読解力を低下させている原因の一つなのではないかと思うのです。

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