肘をつくな

教育

小さい頃、おばあちゃんに「食事中に肘を着くんじゃありません!」と厳しく躾けられた。どうしてなのかはわからなかったが、肘をついて食事をすると手を叩かれたりしたので自然とやらなくなった。今でも食事中に肘を着いている人を見ると「躾けが悪いなぁ」と思ってしまう。三つ子の魂百までである。

先日、NHKの「ガッテン!」を見ていたら「飲み込みの悪い人」という特集をやっていた。飲み込みが悪いといっても「理解力が乏しい」というわけではない。嚥下(えんげ)力が弱い人、つまり食べ物や飲み物を飲み込む力の弱い人という意味である。

番組の要点を端的に言えば「姿勢が悪い人は飲み込む力が弱い」ということだ。かいつまんで言うと、骨盤と舌は胸骨を介して筋肉で繋がっているのだという。だから座っている時の姿勢が悪く猫背になっていると骨盤が後ろ側に倒れてしまい、舌を下に引っ張る力が働いて飲み込む時に食べ物を一つにまとめる力が削がれるらしい。自分の体を解剖したわけではないので真偽のほどはわからないが、もしそれが本当なら筋は通っている。

食事の時にテーブルに肘を着くと背中が丸まり首を前に突き出すような姿勢になる。この時は確かに骨盤が後ろに傾いた”姿勢の悪い状態”になる。試しにこの状態でコップの水を飲もうとするとやや飲みづらいような気もする。個人差があると思うので「信じられない」と思う方は試してみるといい。

おばあちゃんは躾には厳しかったように思う。ボクはおばあちゃんとは離れて暮らしていたが、両親がフルタイムで共働きだったため月曜日から土曜日まで同じ歳の従兄弟とともにおばあちゃんの家に預けられていた。おばあちゃんは孫の躾の責任は自分にあると思ったのかどうかわからないが、従兄弟とともに叩かれることも多かった。その一つが「食事の時は肘を着くな」だった。

他にも「立ったまま物を食べるな」だったり「口の中に物を入れたまま喋るな」だったりした。明治生まれのおばあちゃんがその訳を説明したことはなかったが、怒られると怖いので黙っていうことを聞いていたが、今になってあの時に言っていたことはこのことだったのかもしれないと思った。

古くからの言い伝えや躾には理由などない。「躾は押しつけ」だ。でもその奥の深いところには長い経験からくる理由があるのかもしれない。「うるさいなぁ、古いんだよ」などと言っていうことを聞かなくなってしまったボクだが、古くからのしきたりにはそんな理由が隠されているのかもしれないと姿勢を正している今日この頃である。

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