小学生の頃だったか、1学期が始まる日に新しく担任になった先生が教室で言った。
「君たちと僕は今日初めて会った」
「最初の出会いで感じた相手の印象を『第一印象』という」
「第一印象は人の出会いにとってとても大切だ」
「だから第一印象を大切にしよう」
確かそんな話だった。
でもボクはどうやら昔から第一印象が悪いらしい。出会った友達から何年も経ってから「最初はこんな人だと思わなかった」と言われることがよくあった。それは小学校でも中学校でも、社会に出てからもそうだった。”こんな人”がいい方に外れたのか悪い方に外れたのかわからない。怖くて訊いたことがない。そのせいかどうかはわからないが、たぶん他のみんなより友達ができるのが遅かったのではないかと思う。
小学校や中学校は学区の公立学校だったので、学年が進むに従って”去年までの友達”が新学期になると、新しくできた友達にボクを紹介してくれた。「ホンマはええヤツやねん」と言ったかどうかわからないが(神奈川の学校だから言ってないと思う)、ボクは友達の仲介で友達を増やすことができた。だから”友達不足”で悩んだことはない。
しかしイジメがなかったかといえばそんなことはない。イジメは仲が良くても普通にあることだ、と思う。それが今問題になっているイジメと同じものなのか違うものなのかはわからない。でも中学を出るまでは誰もがいじめイジメられながら育ってきたと思う。それが普通だった時代だ。
社会に出てからも人付き合いは苦手だった。第一印象が悪いから初対面の人とは話が弾まない。営業に行ってもたまたま受注できた仕事を一度やる中で、「なんだホントはおもろいヤツやん」などと言われながら人間関係を作っていくことが多かった。
そうやってゆっくりと友達ができていくことで、おかげさまで”変な友達”ができることがなかった。変な友達とは自分と価値観が合わない友達という意味だ。友達だって正面切って反対されたり意見が食い違うことはある。それでも最後まで議論しないでうやむやにしてしまうような友達はいなかった。だから反対されれば「きっとこいつには反対する訳がある」と素直に意見を聞くことができた。
そんな友達がたくさんできたのはひとえにボクの第一印象が悪かったおかげではないかと思っている。人生至るところ青山ありである。ちょっと違うか。
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