日本ではテレビドラマのテーマ音楽は割と有名になっている。ちょっと話題になったドラマの主題歌などは誰でも一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。ところがテレビドラマなら主題曲の有名な1フレーズでもを聞けば「あぁ、あのドラマ!」と思い浮かぶのに、こと映画に関しては音楽との結びつきがほとんどない、という話が友人のBLOGに載っていた。
ところが外国映画となると様子は一変する。古いところでは「戦場にかける橋」「大脱走」「第三の男」「風と共に去りぬ」「禁じられた遊び」「追憶」、「オズの魔法使い」「サウンド・オブ・ミュージック」「駅馬車」「ピンクパンサー」「卒業」「007シリーズ」「スーパーマン」「ゴーストバスターズ」「アンタッチャブル」「スターウォーズ」「E.T.」「フラッシュダンス」「ジュラシックパーク」「ライムライト」「バック・トゥー・ザ・フューチャー」「ロッキー」「インディー・ジョーンズ」「ハリーポッター」、そして僕の好きな「フォレストガンプ」などなど。すぐに曲は思い出せなくても耳にした瞬間に映画の一場面が思い浮かぶほど外国映画に音楽はつきものだ。
ところが日本の映画となるとほとんど音楽が思い浮かばない。最近ではスタジオジブリのアニメ映画は音楽がセットになっているものが多いが、それ以外では音楽を聞いた途端にその映画が思い浮かぶものは中々思い当たらない。寅さんの「男はつらいよ」くらいである。
その代わりといってはアレだがテレビドラマでは音楽との結びつきが強い。さだまさしの声で「♪あ~あぁ~あああああぁ~あぁ~♪」と歌うメロディを聴けば北海道を舞台にした「北の国から」を思い出すし、「太陽にほえろ!」や「西部警察」のテーマ曲も有名だった。アニメなら「宇宙戦艦大和」や「アルプスの少女ハイジ」「サザエさん」のテーマ曲は一度は耳にしたことがあるだろう。ドリフターズの「♪ババンババンッバンッバンッ!あ~ビバビバ♪」を聴いたら誰もが「温泉だ」と思うはずだ、いやそれは方向が違うかな。
テーマ曲が有名になりやすいテレビドラマでは毎回テーマ音楽から番組が始まる。毎回ガツンと一発目に音楽を聞かせることでストーリーとの結びつきが強くなるのではないだろうか。
海外の映画はいきなりテーマ曲から始まることが多いのに対して日本の映画はいきなりストーリーから入る。映画が始まるといきなり物語の一場面だ。思い出してみてもそのあとにテーマ音楽が掛かった記憶もあいまいだ。そりゃそうだろう、物語が始まってから「はいテーマですよ」とやられたら流れが切れてしまう。映画のエンドロールに流れる音楽にも余韻を感じさせるものが少ない。
一方で海外の作品では音楽に対する思い入れが半端ではない。チャップリンは音楽さえ自分で作曲したというしスターウォーズやE.T.のジョン・ウイリアムズは超有名人になった。「ジョーズ」では音楽こそないが不気味な「ズンズン、ズンズン、ズンズンズンズン…」という効果音が見えないが確実に近づいてくる恐怖のすべてを代弁している。
その点で日本映画は音楽を軽視しているとまでは言わないが音楽との結びつきが弱いように感じる。もしかしたらこれは西洋のミュージカルやオペラの影響なのかもしれない。オペラもミュージカルも音楽は物語と並んで、いや物語以上に主役だ。オペラは物語の作者よりも作曲家の方が知られている。ワーグナー然りモーツァルト然りビゼー然りヴェルディ然りだ。
古くからの日本の戯曲にもお囃子や効果音はあったもののすべては物語と役者ありきだった。あくまで効果音の範疇を出なかったし戯曲の作者といえば筋書きを作った人のことを指す。しかし西洋のミュージカルもオペラも音楽ありきで始まっている。
宮崎アニメでは久石 譲(ひさいし じょう)という作曲家が「風の谷のナウシカ」や「となりのトトロ」などの音楽を作り有名になったが、その陰には映画監督の音楽への深いこだわりがあったのではないだろうか。そういった監督が現れて初めて音楽が映画の添え物から飛躍できたのではないかと思っている。西洋の映画音楽ばかりが陽の目を見て、ちょっと悔しい気持ちになっている。
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