最近パソコンのiTuneの中にある竹内まりやや尾崎亜美、プリンセスプリンセスなんかの曲を聴くことがある。特に強い思い入れはないと思うのだが何となくアルバムのタイトルを目にすると「聴いてみようかな」と思うことがあるのだ。これらのアルバムは元々学校を出て20代の頃に買ったCDから取り込んだもので、レコードからダビングしたものではない。そう10代の頃にはレンタルレコード店がそこかしこにあってレコードを借りてきてはせっせとカセットテープにダビングして聴いたものだった。今は昔である。
プリプリ(プリンセス・プリンセス:当時人気があった女の子バンド)は歌っていた。
ブラウン管じゃ見れない景色が見たい♪
針が下りる瞬間の胸の鼓動を焼きつけろ♪
初めて電話するときにはいつも震える♪
~DIAMOND~ プリンセス・プリンセス
ネットには「針が下りる瞬間の”針”って何のことですか?」などという質問が寄せられるご時世だ。もうブラウン管もレコード針も目にすることはなくなり「知らない」という人も多いのだと思う。電話といえば”家電(いえでん)”だったから彼女(彼氏)の家に電話した時に家族の誰が最初に電話に出るかわからなくてドキドキしたりしたが、ケータイやスマホが当たり前の今となってはそんな気持ちを理解することも難しくなってしまったのかもしれない。
ボクらの青春時代には当たり前だったものも時代とともに次々と消えていった。あの頃に戻りたいとは思わないが、やはり懐かしい。
それぞれの人の心に懐メロはある。懐メロは”懐かしのメロディ”だ。それはまだ多感だった青春時代に聴いていた音楽だったりする。人生の辛かった時に慰めてくれたり力を奮い立たせてくれた音楽だったりする。人それぞれに違った人生があって心に残った音楽も一人一人違っているはずだ。それでもネットなどまだなくメディアに多様性がなかった時代、国民的アイドルは確かに存在し国民的ヒット曲もあった。当時を生きていた人が全員、一度は耳にしたことのある曲があった。町の商店街やレコード屋の前で流れていたしテレビコマーシャルでも流れていた。音楽はその時代を思い出させる。
自分にとっての懐メロは三橋美智也だったり橋幸夫だという人もいれば忌野清志郎だという人もいる。今どきアリスやかぐや姫、さだまさしなど聴いていると若い人には「古っる~い」などと言われる。ボクも若い頃には演歌などを耳にすると、年寄りはなぜこんな音楽が好きなのだろうと不思議に思っていた。でもそこにはその人の青春があったのかもしれない。
音楽や匂いはその時代と強く結びついて心に何かをイメージさせる力を持っているのだと思う。それは風景や映像などのビジュアルにもあるが、それ以上に曖昧な音や香りの方が思い出と強く結びついているような気がする。
何でも白黒つけてハッキリさせることが現代の風潮だが、霧がかかったようにぼんやりとしたものほど思い出をより強くしてくれるとはなんとも不思議なことだと思う。
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