分別するためのエネルギー

日々是好日

リサイクルはいいことだと思う。なんとなくモッタイナイ精神を満たしてくれる。しかし雑多なゴミの中から特定の材質のものだけを選び出すにはエネルギーが必要だ。リユースなら分別する手間は少ないのだろうが、リサイクルするにはかなりの労力が必要だ。

物理や化学の世界には「エントロピーの法則」というものがある。簡単に言えばあらゆるものは不可逆的に乱雑さの度合いを増す方向に変化する。あらゆるものはきちんと整列した状態から乱雑になる方向に向けて一方的に変化する。例えば水の温度は水分子の運動の激しさを測る指標になる。冷たい水より暖かいお湯の方が水分子はより激しく運動している。

だから0℃の氷500gと100℃の水500gを混ぜれば理論的には50℃のお湯になる。理論的にはというのは周りの空気を温めてお湯が冷めてしまうようなことを無視すればということだ。そしてその前後では「エネルギー保存の法則」が成り立っている。0℃の氷と100℃の熱湯ががバラバラに存在しても、両方が混ざって50℃のお湯になってしまったとしても持っているエネルギー量は変わらない。

でも50℃のお湯を放っておいたら0℃の氷と100℃のお湯になっていたという話は聞いたことがない。水を冷やして氷にするにも沸かしてお湯にするにもエネルギーが必要だ。ではそのエネルギーはどこに行ってしまうのだろう?

ゴミを分別しないで捨てる分にはエネルギーは必要ない。何も考えないでゴミ箱に放り込むだけでいい。でも資源ゴミやプラスチック、ビン、缶などに分別するにはちょっとだけ頭と手間というエネルギーを使わなければいけない。せっかくエネルギーを使って分別しているのだからできるだけそのエネルギーの分だけでも「モッタイなくない」と思えるように有効利用できれば苦労も報われるというものである。

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