儲けるためならなにしてもいいんですか?

日々是好日

随分前の話だが、元村上ファンドの村上世彰氏がニッポン放送株のインサイダー取引で逮捕されたときの記者会見で、「お金儲けって悪いことですか?」と言っていた。お金儲け自体は決して悪いことではない。逆に企業や商店に限らずあらゆるビジネスはお金儲けしなければ存続できない。あなたの勤めている会社だってビジネスでお金儲けをしておなたに給料を払っている。ただお金儲けは否定されるものではないが、儲けるためならなにをしてもいいのかということになれば問題は別だ。

多くの企業ではお金を儲けるためにはギリギリ”法律に触れないようにしながら”多少のウソや不義理をしながらお金儲けをしている。例えばアップルコンピュータ。新しいMacやiPhoneを発売するたびに「経験したことのない感動!」などというキャッチフレーズで大々的に宣伝する。もちろん”ある人”には「経験したことのない感動」を与えているのかもしれないから”ウソ”ではないかもしれないが、すでにiPhoneを使っている人にとっては多くの場合「すでに経験している」ことばかりだからウソもたくさん含まれているし、他のメーカーでは”アタリマエのこと”である場合も多い。これはアップルコンピュータだけの話ではない。サムソン電子だってドコモだってauだってソフトバンクだってシャープだってみんなやっていることだ。みんなやっているからみんながウソだと知っている。でもだから嘘をついてもいいことにはならない。

30年ほど前にIT系のベンチャー(当時)が雨後に筍のように出てきた。そこで名を挙げて大儲けした人には楽天市場の三木谷浩史やソフトバンクの孫正義、ライブドアの堀江貴文などが名を連ね、最近ではZOZOタウンの前澤友作なども有名だ。海外ではアップルのスティーブ・ジョブスやAmazonのジェフ・ベゾス、Googleのラリー・ペイジ、Facebookのザッカーバーグなど日本でも有名になった人物も多いし、最近ではTwitter社の買収でも有名になったテスラモーターズCEOのイーロン・マスクもその名を轟かせるようになった。

これらの人物に共通しているのは儲けるためや言い逃れをするためには”平気でウソをつく”ということだ。それは法律に抵触しないように巧妙に考えられていたり、「倫理的に許されないだろう」というようなことだからあからさまに訴えられることは少ないが、”昭和に育った普通の日本人の感覚”からすれば「そりゃねーだろ!」と言いたくなるようなことだらけだ。もっとも今では平成生まれの若者がビジネスの中心で活躍しているから理不尽さを感じることも少ないのだろうが、昭和生まれの中高年世代は若者に遠慮して口には出さなくても理不尽さを感じている人が多いはずだ。

「捕まらなければなにをしてもいい」と考える世代は昭和にもいた。しかしそれは平成になって急激に台頭し、世間的にも「ま、いんじゃね?」と言われるようになってきている。昭和の頃には小学校でも「清く正しく美しく」が美徳だと教えられてきた。それがほんの30年の間に「儲かりゃなにしてもいいじゃん」に変わってきた。もちろんそれを評価するのはこれからを生きていく若者たちだ。当人たちがそれでいいと思うならそれでも構わないが、やがて歳をとった時に「あの時に道を誤ったかもしれない」と思わないでほしいようと祈っている。

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