昨年は天皇陛下の即位などがあって天皇の「三種の神器」が注目を浴びたりした。三種の神器とはご存知の通り「勾玉(まがたま)」、「鏡」、「草薙の剣(くさなぎのつるぎ)」のことである。ところが天皇陛下が伊勢神宮などに参拝した時には三種の神器のうち勾玉と鏡だけを持って行ったりしていたのには訳がある。もう一つの神器である「草薙の剣」は失われているからなのだ。
源平合戦の壇ノ浦の戦いで草薙の剣は安徳天皇とともに壇ノ浦に沈んでしまった。現在、名古屋の熱田神宮にある剣はのちに伊勢神宮から献上されたもので恐らくは再現されたものである。元々の剣は神代の昔、須佐之男命(スサノオノミコト)が出雲で八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治した時にその尾の中から見つかったものだと言われている。
その後、天照大神(アマテラスオオミカミ)などを通して日本武尊(ヤマトタケルノミコト)に託された。日本武尊が東方征伐に向かった時に今の静岡県あたりで追っ手に火をかけられた時にその剣で野の草を薙(な)いで逃げおおしたことから草薙の剣と呼ばれている。その焼かれた所が今の焼津だということになっている。日本書紀にはそう書いてあるがウソか本当かは知らない。
もっとずっと後世の話だがイギリスの中世騎士物語にも「エクスカリバー」という名刀が出てくる。アーサー王が持つ剣とされブリテン島の正当な統治者の象徴とも言われている。アーサー王伝説の中では岩に刺さった剣城を引き抜くことができたものこそがアーサー王の資格があるとされると預言者のマーリンが言ったことになっている。洋の東西は違えど同じような話はあるものだ。
昭和の三種の神器といえばテレビ、電気冷蔵庫、電気洗濯機だったが、令和の時代を迎える頃にはテレビの神通力は急激に衰えてしまった。ここでも三種の神器が失われてしまうのだろうか。これは現代の源平合戦としてテレビとネットの戦いを象徴しているのだろうか。そしてテレビというものがかつての草薙剣に通ずるものがあるのだろうか。興味深いところである。
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