とんかつ屋の店頭やメニューを見ると「三元豚使用」などと書いてあることがある。何となく「金華豚」のようなブランド豚を連想させて”高級”で”美味しい”ような印象を持った人も多いのではないだろうか。そもそも三元豚とは何なのだろうか。ネットを調べると「3つの原種の豚を交配させてできた豚の品種」のことで日本ではごく一般的なものだという。逆に三元豚や四元豚でないものはほとんどないらしい。ごく一般的な豚のことである。
日本で現在流通している豚肉のほとんどは三元豚であって原種の豚が食用として流通することはまずないらしい。だから「三元豚」はブランドなどではなく一般名詞であって「豚肉」と書くのとなんら変わらないということだ。
それでもわざわざ「三元豚を使用」と明記することで高級で美味しい”ブランド豚”のように勘違いさせることは可能だ。ボクがそうだったように三元豚のもとの意味を正確に把握している人は割と少数派なのではないかと思う。このように”業界”ではアタリマエだとされていることでも、それを買う消費者が知らなければ「なんかわからないけど凄そう」なものだと”勝手に”勘違いすることはありうることだ。
このようなマーケティング手法はいかがなものかとも思うが、別にウソをついているわけではない。市販風邪薬の「イブプロフェン配合」と似たようなものだ。ほとんどの風邪薬に配合されていたとしてもそれをパッケージに書いてはいけないわけではない。ウソではない。逆だ。業界では常識なのだ。
だから「騙されるな!」と言っているわけではない。そもそもウソではない。しかし「なんか知らないけど凄そう」だと思ってもそんな自分勝手な感覚だけをすぐに信用してしまえば本当のことや常識がぼやけてしまう。そんなことに気を付けながらあたりを見渡してみると世の中は「勘違いさせよう」としているマーケティングや宣伝にあふれていることに気づくのではないだろうか。まぁウソじゃないんだから目くじら立てることもないけどね。
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