フォレスト・ガンプ

コミニュケーション

という映画をご覧になった方は多いと思う。1994年公開のアメリカ映画で既にとても有名な映画なのでネタバレを気にせずあらすじを話すと、主人公のフォレスト・ガンプは普通の子供より知能指数の低い子供として生まれ、少年期をアラバマ州のグリーンボウという田舎町で過ごす。小学校に通うスクールバスの中で母親以外では初めて自分に優しく接してくれたジェニーという女の子と仲良くなり毎日一緒に遊ぶようになった。最初は足に障害のあったフォレストは学校で毎日いじめに遭うが、ある日、いじめっ子から石をぶつけられた時にジェニーに「フォレスト、逃げて!」と言われて必死で走っているうちに自然に装具が外れて物凄い速さで走れるようになった。

成長したフォレストは高校生になってもまだ学校でいじめられていたが、これまたある日、学校の帰りにいじめっ子から石をぶつけられた時に一緒にいたジェニーが「フォレスト!、逃げて!」と叫び必死に走っているうちにフットボールの試合に紛れ込んでしまい、その足の速さが監督の眼に止まってフットボールだけで大学に進学することになった。やがて幼馴染のジェニーとは離れ離れになるがジェニーを好きな気持ちは最初に会った日から変わることはなかった。

大学の卒業式の日に陸軍の勧誘を受けて素直に入隊し二等兵となり鬼軍曹のもとでしごかれることになるが、また軍隊に入隊したその日に新兵訓練所のスクールバスの中で親切にしてくれたババという黒人男性と仲良くなり淡々と訓練所生活を送ることになる。ベトナム戦争に送られたフォレストとババだったが、フォレストは作戦中に尻に軽傷を負ってアメリカに戻されることになるが親友だったババはベトナムで戦死してしまった。ベトナムへ行く前に偶然会ったジェニーに「戦争に行ったらカッコなんかつけないで逃げて!」と言われたことを忠実に守った結果がフォレストとババの運命を分けた。訓練所時代にババと「軍隊を除隊になったらフロリダでエビ漁師をやろう」と約束していたが、ババは死んでしまった。しかし「約束は約束だ」と軍隊時代にひょんなことから熱中した卓球がきっかけで、世界大会に出場したことで卓球のラケットメーカーから貰ったお金を使って船を買い「ババ・ガンプエビ会社」を作ってババとの約束を果たした。

やがて熱心にエビ漁を続けていたフォレストは幸運にもエビ会社で儲かったお金をベトナム時代の上官で両足を切断されたダン隊長がフルーツ会社(ベンチャー時代のアップルコンピュータ)に投資しておりアップルの上場によって莫大な資産を得ることになった。ババとした「儲けは半分ずつ」という約束通り、儲かった資産の半分をババの遺族に渡して自分はアラバマに戻って悠々自適な生活を得ることになる。以前から大好きだった庭の芝刈りをして毎日を過ごすようになる。たった一人の家族だった母をガンで亡くし寂しい気持ちでいるところに、反戦運動に夢中になって長い間音信のなかったジェニーがひょっこりと現れて一緒に暮らすことになる。しかしなぜかジェニーはまたフォレストの前から姿を消してしまった。フォレストは虚無感からある日突然走り始めた。アメリカ大陸を自分の足で走って何往復もしているうちにテレビのニュースになり、仕事中に偶然それを見たジェニーから手紙を受け取る。

手紙を持ってジェニーを訪ねるとそこにはフォレストという名前の男の子とシングルマザーとなっていたジェニーが暮らしていた。ジェニーは「子供はあなたとの子供だ」と話した。ジェニーは重い難病にかかっておりもう短い命なのだと打ち明けるが、子供の頃からずっと好きだったジェニーとまたグリーンボウで暮らし始めた。フォレストはどんな環境にいても言われたことを何も考えずに淡々と熱心に実行してきた。常に欲を持たず、ジェニーに言われたこと、ババとの約束、ダン隊長との約束を愚直に守り続けた人生だった。やがてジェニーも死に庭の大きな樹の下にお墓を作った。子供の頃にジェニーと遊んだ木だった。息子はジェニーに手紙を書いた。しかし「中身は読むな」と言われたので中身を見ないままジェニーのお墓に置いて帰る。

この映画が本当は何を伝えたかったのかは正直なところ今でもわからない。何事にも無心で無欲に一所懸命に取り組む人は大成するということなのか、人を疑うことをしない人は周りの人からも信用されるということなのか、伝わってくることはたくさんあるがそれはすべてフォレスト・ガンプ(間抜けなガンプ)と繋がっている。

この話に限らず昔話でも正直者は得をすることになっている。正直者や人に親切にできる者は最後には幸せになる。しかし現実の社会では「バカ正直」と言われ「要領が悪い」とバカにされる。フォレストが何を思って人生を過ごしてきたのかは分からない。わからないからこそボクはこの映画を何度観ても、いつも違った印象を持ちその時によって違うフォレスト像が頭に浮かんでくるのだ。

しかし今の世の中ではあまり流行らない話かもしれない。自分のことだけが大切でお金儲けが大好きでそのためには他人を蹴落としても、いや蹴落とすことでのし上がることを是とするような風潮の社会で、それでも「そんなことばかりやっていていいのか」と自分を振り返ることのできるこの映画は、きっとボクが死ぬまで一番大好きな映画であり続けるだろう。

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