生ハムでも鶏ハムでもロースハムでもない。アマチュア無線愛好家のことだ。アマチュア無線をご存じだろうか。ボクは中学生の時に学校の部活動で興味を持って国家試験を受けた。「無線従事者免許証(通称”従免”)」は1度取ってしまえば一生涯有効なのでボクの従免の顔写真はいたいけな中学生づらだ。その頃にはメーカーから既製品のトランシーバーやアンテナもたくさん販売されていたが、中にはすべてを自作してしまう人も多かった。
実家の近所にも家の敷地に20mほどの鉄塔を立てて大きなアンテナをグルグル回しているベテラン・ハムのおじさんも何人かいた。アマチュア無線局を開局するには先の”従免”の他に「無線局免許状(通称”局免”)」を申請して取らなければならないが、こちらは試験などはなく無線装置がメーカー製で基準通りに動作すれば割と簡単に交付される。しかし自作したトランシーバーなどはいろいろと電波障害が出たりして苦労させられた。
この”局免”には「呼び出し符号(コールサイン)」というものが書かれている。テレビやラジオ放送などで耳にするJOAK(NHKの場合)やJOQR(文化放送)などもコールサインだ。余談だがアメリカの大統領専用機air force one(エア・フォース・ワン)も航空無線のコールサインである。アマチュア無線家にとってコールサインは自分の名前のようなもので大切にしているのだが、これは電波監理局から一方的に与えられるので好きなものを選ぶことはできない。高校時代の友人は偶然にも”Jx1UFO”というコールサインをもらった。まだピンクレディーが全盛の頃である。周囲の人からは羨望の眼差しで見られたが本人はあまり気に入ってなかったらしい。♪ゆ~ぅふぉ~♪
トランシーバーといえば子供の頃買ってもらったおもちゃのトランシーバーで友達と「応答せよ!応答せよ!」「今からそちらに向かいます、どうぞ~」などとウルトラ警備隊ごっこをしたりして遊んだ覚えがある。おもちゃなのですぐ近くの見える程度の範囲でしか使えないのだが、無線で話ができることに大いに興奮したことを覚えている。今ならケータイがあるので驚くことではないが、まさにテレビの中の夢の世界が現実のものになったような気がした。
アマチュア無線ではいくつかの周波数帯を使って他のハムと交信することができる。短波のラジオ放送でも使われている短波帯(通称”HF”・High Frequency)やFM放送やテレビで使われる超短波帯(VHF)、地デジやUHFテレビの極超短波帯(UHF)などが中心だ。それぞれの周波数の特性によって発射した電波が地球の裏まで飛んでいくこともあるし市内の人としか交信できない場合もある。一般に波長が長い(周波数が低い)ほど遠くまで飛びやすく短波などでは普通にオーバーシーズ(海外)のハムと交信することが可能だ。
短波帯ではその波長は80m(3.5MHz帯)、40m(7MHz帯)、15m(21MHz帯)、10m(28MHz)、超短波帯では6m(50MHz)、2m(144MHz)程度だ。アンテナを作るときには自分が使う周波数帯ごとに波長に合わせた長さのアンテナを作る必要があるので、中学生などが自宅で家族から批判を浴びない程度で設置できるアンテナの大きさはおのずと決まってくる。ボクは家族が見逃してくれるだろう最大の大きさだと思われる7m(21MHz・アンテナの大きさは波長の半分でいい)のアンテナを、ホームセンターで安い電線を買ってきて実家の屋根から庭に向かって張ってみた。 一般に周波数の高い無線機を作るのは難しかったから、自作できる無線機と張れるアンテナの大きさのせめぎあいだ。
中学生から高校生にかけては随分とアマチュア無線に没頭していたが、25歳を過ぎる頃には車に積んでいた無線機も外してしまい無線とは無縁の生活を送っている。それでも先日、荷物を片付けていたらダンボールの中からハンディトランシーバーが出てきた。無線局の免許状が切れているので送信することは許されていないが、電池を入れたらスイッチが入った。他の無線局の電波も受信できたので今でも使えるはずだ。しかしこれをどうしよう、当面はこの先使うアテもないのだが…。
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