テイク・ジ・Aトレイン

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「Autumn Leaves(邦題:枯葉)」や「Summertime」など、Jazzでは色々なジャンルの曲をテーマにしてアレンジした曲をセッションで演奏することが多いが、この曲は本家のJazzビッグバンドのデューク・エリントンが作曲させて自らのバンドのテーマ曲にもなっている曲だ。ビッグバンド・ジャズといえばカウント・ベイシーやグレン・ミラーなども有名だが「Take the “A”train(邦題:A列車で行こう)」といえばやっぱりデュークエリントンだ。

定冠詞の”The”は「ザ」と発音するが、

「その直後の単語が母音の発音するときには『ジ』と発音してください」

日本人なら義務教育の中学1年生の1学期に英語の授業で習う”基本のキ”である。後ろの単語の発音が母音で始まるなら「ザ」は「ジ」になる、は「645年大化の改新」や「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」と並んで中学生の常識だった。そしてそのことを40年以上も信じ続けてきた。

ところが先日、カナダ人にそのことを言ったら、「え?そうなの?初めて聞いた」と言っていた。彼の母国語は英語だ。「そんなことは聞いたこともないしそんな発音はしないよ」とまで言う。「だって、だって中学の先生も高校の先生もそう言ってたんだもん…」

青天の霹靂(へきれき)だった。悪い夢を見ているのかと思った。一体何を信じればいいのかわからなくなった。「そんなこと、気にしたこともないよ」と言いながら「ジ」と発音しているならまだしも彼は堂々と「ザ」と言って憚らない。いったい「”ジ”と発音する」と言い始めたのは誰だったんだろう。そんなことで今でも日本の中学生はテストでバツをつけられているのだろうか?

そういえば霹靂(へきれき)の靂は難しい漢字だ。それ1文字ではボクには読むことも書くこともできない。そもそも拡大鏡を使わないと細かいところを見ることすらできない。雨かんむりに歴史の歴だから”レキ”と読むことくらいは想像がついてもとっさには書けないだろう(と思う)。

昔、たのきんトリオという人気アイドルグループのトシちゃん(田原俊彦)が缶コーヒーのCMで、サインを求めてきた女の子に「名前は?」と聞いたら、「みどり、紺碧(こんぺき)の”碧(ぺき)”」と言われて「未熟だな、オレも」とはにかむという場面があったが霹靂の靂はその比ではない。きっとトシちゃんだって書けないに違いない。(書けたらゴメンナサイ)

漢字も難しいがそもそも母国語ではない言葉について「これはそういうものなんです」と言われて丸暗記したものを後になって「あれはどうやら嘘だったらしい」と言われてたらどんな顔をしたらいいのだろう。

発音に限らず昔習った英文法でも現地人に「そんな文法は聞いたこともない」などと言われると「今までに人生は何だったんだ」とやるせない気持ちになったりするが、もともと言葉などというものは文法ありきで考えられたものではないから先生に、「例外のないルールはない」などと言われるとまた「そんなものかなぁ」と簡単に納得してしまうのであるよ。

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