チラリズム

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怖い怖いと言いながら薄目を開けて見ようとする。嫌だ嫌だと言いながら徐々に近づいて触ってみようとする。ダメだと言われたり危ないと言われると逆に自分から近づいて行こうとする人がいる。冷静に考えれば頭がおかしいのではないかと思うが怖いものや禁止されているものにはある種の魅力を感じることがないわけではない。小さな子供も「熱いから触っちゃダメ」と言われると急に触りたがったりする。どれくらい熱いのか試してみたいのだろうか。

学生など若い人たちにも似たような性向が多くみられる。典型的なのは不良グループや暴走族(最近ではほとんど見られなくなったが)、飲酒や薬物など悪いと言われていることにはすべからく興味を持って試してみようとする。ボクらが学生の頃にもダボダボの学生ズボンや裾の長いあるいは異常に短い学ランや薄っぺらい学生カバンが町中を闊歩していた。そのすべてがいわゆる”不良”かといえばそんなことはなく、その半数ほどは勉強もでき学級委員などを務めている優等生だったりした。そんな彼らは一通りワルの道を覗いたあと、受験の頃には普通の優等生に戻っていくのである。

”怖いもの見たさ”には恐らくレベルがある。真性の不良たちも最初は怖いもの見たさでワルの世界を覗いてみるだけだが、やがて小さな刺激だけでは飽き足らなくなってレベルの高いワルへと成長(?)していったのではないだろうか。それがワルたちのグループを形成し始め、抜き差しならなくなると反社会的勢力と言われるプロのワルの道へと進んでいくのではないかと思う。もっともボクは中途半端なワルだったのでこの辺りは想像であり実際のことはよくわからない。

しかしそんな彼らもやがて職を得て結婚し子供でも出来ようものなら一瞬にして優しいパパやママになるのだから、優等生たちと怖いもの見たさのレベルが違っただけで本質は変わらないのではないかと思っている。

怖いものには何とも言えない魅力がある。その醜い姿をまざまざと見せつけられるのはあまり愉快なものではない。時としてチラリと見えるか見えないかというギリギリのキワに魅力があるのだ。いわゆるチラリズムである。いつも見えっぱなしでは魅力も薄れる。隠されるから見たくなる。またいつか出てくるのではないかと密かに期待してしまう。恐ろしいもの、汚いもの、変なもの、エッチなものにはそんな魔性の魅力がある。

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