しょうがない

日々是好日

先日、ある人と話している時に、「今の人は”しょうがない”って思わないのかなぁ」という話になった。何か自分に不都合なことが起きるとすぐに誰かのせいにしたがるという話だ。例えば去年から続く新型コロナの感染拡大。原因はウイルスだということがほぼ確実だし、ウイルスが意思を持って悪意で人間を困らせているわけではない。

自然災害といえば先日起きた熱海の土石流や熊本や広島、岡山、和歌山、栃木、茨城、長野など全国各地で頻発している豪雨災害だって、10年前に起きた東日本大震災、御嶽山や雲仙普賢岳で起きた火山災害だって同じだ。何かが起きるとすぐに「盛り土だ」「堤防が低すぎた」「ハザードマップが悪かった」「避難指示が遅かった」「地球温暖化が悪い」と誰かを悪者にしたがるが、火山も豪雨も地震も悪意があって災害を起こしたわけではない。

日本に住んでいれば地震に遭うのはしょうがない、台風が来るのもしょうがない、火山が噴火するのもしょうがないことだ。誰にも止められないし故意に起こすことだってできない。起きたところで悩んでもしょうがないのだ。

新聞を見ていると「この暑さを政府はなんとかすべきだ」という読者の意見があった。「日本の夏は暑いんだからしょうがない」ではなくて「東京オリンピックの時くらい、政府や組織委員会はなんとかすべきだ」と言っている。すべてのことを誰かのせいにしないと気が済まない人はここにもいた。

一体どうやってなんとかするのか、そういう人には具体案を出して欲しいものだ。東京全体を巨大なドームで覆って超強力クーラーで冷やせというのか、数ヶ月で地球温暖化を押さえ込んで地球全体を冷却しろというのか、何を言いたいのかまったくわからない意見だ。

夏は暑いんだからしょうがないにしても「通勤電車が混んでもしょうがない」は人為的な活動の結果だ。コロナが感染拡大しないようにとテレワークが推奨されても、「やっぱり仕事は顔を合わせないとダメだな」などと何がダメなのかわからないままいうことを聞かない経営者は多い。これはしょうがないことではない。危機感のない経営者のせいだ。

ミクロの視点でいえば、この緊急事態宣言下でマスクもしないで大勢で飲みに行ってコロナに感染するのはしょうがないことだ。でも感染したくない人がいるのに自分たちだけルールを破ってどんちゃん騒ぎをしたのなら誰のせいでもない。言うなれば自業自得どころか周囲にも迷惑をかけている。でもそんなことをしたのなら本人たちが感染して苦しんだり死んでしまうのもしょうがないことなのではないだろうか。

それが嫌なら自分が行かなければ済むことだ。「店の感染対策がなってない」という前に自分の不注意をなんとも思わないのだろうか。それに他の人に迷惑をかけるようなことは厳に慎むべきだ。親の躾はこういうところに現れる。育ちが知れるというものだ。

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