「昔の中国」はなかった

日々是好日

世界史の話題になると「昔の中国」という言い方が頻繁に出てくる。しかし中国は中華人民共和国の略で1949年に建国された国だ。少なくとも2000年前に中国はなかった。多くの場合に「昔の中国」はなかったのだ。それでも人は言う、「昔の中国では…」と。

”昔の中国”では歴代にわたって数々の王朝が変わったが紀元後は主に漢民族が支配してきた。言うなれば「漢民族の時代」とでも言うべきである。もちろん今でも漢民族は中国人の9割以上を占めるマジョリティだ。ラストエンペラーの映画でも有名な愛新覚羅溥儀は清王朝の最後の皇帝であり、清王朝の滅亡後の1949年に中華人民共和国(現在の中国)が建国された。

それでも漢民族の歴史を話すときに日本人は「昔の中国では」と言う。過去にあまりにも多くの王朝が入れ替わり立ち替わり、三国志のような時代にはいくつもの王朝が乱立しており常に戦国時代の様相を呈していたので、大陸のあの辺りの国を指す総称が見つからないからだろう。そして最後は「昔の中国」というところに落ち着く。もっともそれが共通の認識になっているのだから大騒ぎすることもないのだが、”中国=中国共産党”というイメージが強いので「昔の中国」という言い方には違和感を覚えてしまうのだ。

日本という島国は昔からほぼ単一民族であり王朝も2000年間あまり変わっていない。幕府や政権には栄枯盛衰があったが天皇制は維持されてきた。大きな内戦がなかったわけではないがなんとなく「この辺りはニッポン」と呼んでも差し支えないのだろうが、ボクは生まれながらに日本に住んでおり海外の目で日本を見たことがないのでガイジンがどう見ているのか知る由もない。

まぁどうでもいいことなのだろう。

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