γ-GTP(ガンマ・ジーティーピー)といえば酒飲みの間ではまず知らない人はいない血液検査の数値だ。ボクのγ-GTPがうなぎ上りである。お酒が大好きなボクだから昔から決して低くはなかったが今では上限値の2倍くらいになっている。いやうなぎ上りではない。20年くらい前からこの程度には高かったから高値安定ということだろう。
嘘か本当か知らないが、この数値は肝臓の組織が壊れていく時に血中に流れ出す成分だと聞いたことがある。ということは20年経ってもまだこんなにも壊れ続けているのだからまだまだ壊れ切ってはいないということなのだろうか(と正常化バイアスが働く)。でもおそらく肝臓が壊れ切ったらその瞬間に死ぬのだろう。
そういえば20年以上前の頃、胃腸を悪くして入院していたボクの病室の向かいのベッドにいた50歳前後のサラリーマン風のおじさんはほとんど食事も取れず(ボクも点滴で命を繋いでいたのだが)運動もできずに”絶対安静”を言い渡されていた。どうやら肝臓を悪くしたのだという。
何日か経ったある朝、病室のベッドの上で目が覚めるとあたりが騒がしい。絶対安静のおじさんのベッドは綺麗に片付けられていた。その数日前には隣のベッドに寝ていた高齢のおじいさんが夜中に大量に血を吐いて運ばれて行ったきりどこに行ったのかわからなくなったりしていたので大抵のことには驚かなくなっていたが、まだ50代そこそこで肝臓を壊してあっけなく三途の川を渡ってしまった人を目の当たりにすると少しは「ヤバイなぁ」という感情が湧いてきたことを覚えている。
それから何年も健康診断のたびに大幅に基準値をオーバーしているγ-GTPを見せつけられているとだんだん免疫ができてくるのかあまり深刻に考えなくなった。もっとも1ヶ月ほど入院して酒を飲まなかった時には数値も下がったので「飲まなければまた下がるさ」と楽観的に考えている自分がいるのだ。
でも今の歳になって30歳の頃のように体が回復するという保証はない。多分ダメだろうなぁと思いながら昨夜も焼酎を飲んでしまう自分に「ダメだなぁ」と語りかけていたのだった。
コメント