キラキラネームは善か悪か

夏目漱石は「虞美人草」で、登場人物二人の会話でこう言わせている。

「…雅号なんざどうだって、モノさえたしかなら構わない主義だ」
「そんな確かなものが世の中にあるものか、だから雅号が必要なんだ」

中身なんて誰もわからないのだから目印が必要なんだと。
名は体を表すというが、名前は親が付けたものだ。そのとおりになる子供も多くはないはずだ。しかし親が子供に託した想いが名前になるのなら、名前にふさわしい躾や教育をほどこすかも知れない。そうなれば名前にある程度の説得力が芽生えても不思議ではないだろう。そういう意味でボクは、子供の名前から親の性格や心情を見て取れると思っている。 “キラキラネームは善か悪か” の続きを読む

「駅を作れば人が来る」と思う人の発想

あなたは新幹線の東京-新大阪間を「こだま」で移動したことがあるだろうか。「こだま」は新幹線の各駅停車なのですべての駅に停まる。片道4時間超。停車したほとんどすべての駅で後続列車に抜かれる。
アタリマエだ。後続列車に追い越させるために「こだま」だけが停まる駅を作ったのだから。そうでなければなぜ「新富士」駅を作る必要があったのか。
静岡県内には「のぞみ」の停車駅はない。東西に250km以上の長さを持つ静岡県を「こだま」で移動するとある種の苦痛を感じるようになる。 “「駅を作れば人が来る」と思う人の発想” の続きを読む

謝罪の美学

人が怒ったり文句を言うのには訳がある。訳もなく怒るのはアレだ。然るべきところに通報したほうがいいだろう。

「誠意を見せろ」

謝っても何をしても許してくれないお客さんは大抵最後にこう言う。誠意って何かね。こんなお客さんにとっての誠意はほとんどの場合「お金」だ。誠意とはすなわちお金のことである。だがここですぐにお金の話を持ち出してはいけない。相手の感情を逆なでするようなものだ。話を短く切り上げたければなおさら、安易にお金の話を持ち出すのは得策ではない。相手が「金じゃねーんだよ!」と言い始めたら話はこじれる。いやしかし最後はお金の話なのだ。問題が”取り返しの付かないこと”ならなおさら、落としどころはお金以外にない。
だが相手がお金の話を持ち出してくるまでは決してこちらから「お金で解決しましょう」という素振りを見せてはいけない。相手に口実を与えてこじれるだけだ。
子供のケンカではないが、謝って済むならケーサツはいらないのだ。 “謝罪の美学” の続きを読む

思い込み

家の近くにはチョコレート工場があるので、冬になって工場の方から北風が吹くとカカオの甘い香りが漂ってくる。カカオの香りはチョコレートを思い出させる。だからカカオは甘いと思っている人もいる。でもカカオは苦い。
子供の頃、台所の隅でバニラエッセンスの小瓶を見つけた。蓋を取ってみるととても甘い匂いがした。試しにスプーンに垂らして口に入れた。猛烈で強烈な刺激だった。バニラエッセンスは甘くなんてなかった。周囲の人に尋ねてみると、子供の頃にそうやって痛い思いをした人は少なくなかった。
チョコレートは砂糖を入れているから甘いのだ。経験上、カカオの香りとチョコレートの甘さが繋がっているからカカオの香りを甘い匂いだと思うし、アイスクリームやケーキの甘さを想像してバニラは甘いと思いこむ。これは先入観といってもいいと思う。 “思い込み” の続きを読む

高いものはいいものか?

かつては「高いものはいいもの」であり、高品質で高機能で壊れにくく美味しく高級なものを象徴していた。事実、安物は総じて壊れやすかったし高級品は長持ちした。昭和の時代はそんな価値観が通用していた。
時代は平成になりモノの価値観は多様化した。宝飾品やブランド品は基本的にあまり変わっていないように見える。もっともブランド品に関していえば時々の流行があるので、恒久的な価値を見出すのは難しいかも知れない。
そしてこの10年ほどで一番価値観が変化したものは食品ではないだろうか。 “高いものはいいものか?” の続きを読む

家を買うバカ買わぬバカ

ヨーロッパなどに行くと旧市街の古い町並みの中には築数百年という古いアパートがいくつもある。西洋では”家を買う”といえば半分以上は中古住宅のことであり、新築の物件はそんなに多くない。建物自体が石造りの建築であったり地震などの天変地異の少ない地方では自然に古い町並みが残りやすいのかも知れない。しかし一方で、第一次、第二次の世界大戦やその後の民族紛争、内戦などでことごとく破壊された街も、特に東ヨーロッパやバルカン半島には多いと聞く。以前にクロアチアを旅したことがあるが、アドリア海を挟んでイタリア半島のすぐ隣りにあるこの地域でも1995年に独立するまでは激しい戦闘に晒されたところなのだと聞いた。ポーランドなどでは第二次大戦中にほぼ全てが壊滅させられた街もあったが、戦後になって住民たちが崩れ落ちたレンガを積み直してかつても街並みを再現したのだという。それほどまでに彼らの家や街に対する思い入れは深い。 “家を買うバカ買わぬバカ” の続きを読む

男と女

昔から言われているし一時は狂ったように話題になったけど、最近では言葉尻だけを捉えて誹謗中傷したりされるので、みんながあまり話題にしなくなってしまった話。
「男と女」について。これだけ書いただけでも、やれLGBTは無視するのかとかセクハラだとか(どこがセクハラなんだかわからんけど)大騒ぎする人が一部にいることは間違いない。でもこんなブログを読んでる人は多くないし、読者のほとんどは理性的な人ばかりなので今回はちょこっと触れてみたいと思う。 “男と女” の続きを読む

ありがとう中毒

久しぶりにファミレスにランチを食べに来た。昼下がりのティータイムの時間である。案内されたテーブルの隣では老人ホームかデイケアから来たと思われるグループが食事をしている。恐らく「たまには外食に行きましょう」という日があって、職員に連れられてやってきたのだと思う。その会話からお年寄りは80歳前後なのだという。ゆったりと会話を楽しみながら食事をしている。のどかな午後の風景だ。 “ありがとう中毒” の続きを読む

共通点は好感度を上げる

エリザベス二世女王が大好きな王室御用達のチョコレートが、ロンドン市内のスーパーで売られているらしい。79ポンド(約130円)だそうだ。何でもそうだが高ければ美味いわけではないし安いからといって不味いわけではない。要は好みだ。それはさておき、
人は誰かと共通点を見つけると親近感を抱く性質がある。好きなタレントが使っているものと同じものを持ちたくなるファンの心理も同じだ。「〇〇(有名人)が使っている」と言われれば信用度も上がるし、それが自分の好きな人なら余計に一体感や親近感が増す。
別にエリザベス二世女王が庶民の人気を得たいからといって、スーパーで売っている安いチョコに御用達を出したわけではないだろうが、ロンドンの庶民からすれば「女王様が食べているのと同じチョコを自分も食べているのだ」と思うだけで自然に親近感が湧く。 “共通点は好感度を上げる” の続きを読む

させていただいている

以前にも書いたが、どうも気になる言い回しがある。「〇〇していただいてもいいですか?」と言われると天の邪鬼なので「やだ」と言いたくなる。「〇〇してください」ではなぜいけないのか、という話だったと思う。
最近気になるのは「〇〇させていただいている」という言い方だ。いや、いいのだ。ホントに何かをしてもらったおかげで自分の望むことをやれているのならその通りだと思う。だが「市内で塗装業をやらせていただいているアベです」などと言われると「アンタにペンキ屋をやっていいなんて許可した覚えはないけどな」なんて思ってしまう。もちろんボクはオトナなので口に出したりはしない。でもちょっとおかしく感じるのだ。 “させていただいている” の続きを読む