ラム肉を食べたタレントが必ず
「全然臭くない~」と言うわけ

テレビの旅番組などで山あいの温泉宿などに行くと猟師が撃ってきた鹿料理が名物だというところを時々見かける。野生の鹿やイノシシ、クマなどのいわゆるジビエだ。温泉で女優のサービスショットなどが入ったあと夕食時に鹿や猪の網焼き、陶板焼きなどが出てくる。そこで軽く地元の地酒などを飲みながら鹿肉に手を伸ばしたタレントは必ず「全然臭くない~」という事になっている。そう必ず「全然臭くな~い」と言うのだ。
どの番組でも必ずそう言うことになっている。そもそも鹿肉はちゃんと処理すれば臭くなどない。いや逆に極めが細かくて柔らかく淡白でとても美味しい肉だ。だがわざわざ「臭くな~い」と言うのがお決まりだ。

ラム肉は最初から臭くない。子羊に永久歯が生える頃、羊の肉は独特の匂いがするようになる。乳歯の頃の子羊の肉をラムといい、永久歯が生えて以降をマトンという。今まで何度となく羊肉を食べたが、ラム肉を食べて臭いと思ったことはない。いや正直なところマトンを食べた時も特にクセがあると思ったことはない。たぶん僕は羊肉の臭いに寛容(鈍感ともいう)なのだろう。そもそも羊肉を名前をラム、マトンと分けているのはこの辺の違いのためなのだと思う。臭くないからラムなのだ。
魚にも出世魚というのがある。ブリなどはワカシ、イナダ、ワラサ、ブリと呼び分けている。以前は養殖のブリをハマチと呼んでいたような気がするが最近では”ブリ(養殖)”と表示されている。地方によって呼び方は違うらしいが、漁師によれば大きさによって味がまったく変わるのだという。味が違うからわざわざ呼び方を変えたわけでその大きさによって値段も大きく変わるらしい。

鹿肉に限らず猪肉だってそうだ。きちんと血抜きをして下処理された猪肉は長時間煮込まないとやや硬いが決して臭くはない。
それでもタレントが必ず「臭くな~い」と言うのは、恐らく食べたこともない誰かから「ジビエは臭い」と吹き込まれたのを鵜呑みにしているから、もしくは「ジビエは臭くないと言ってください」と指示されているからなのだ。

逆に牛肉や豚肉を食べた時はどうだろうか。「舌の上でトロけるぅ~」とは言うが「臭くな~い」と言っているタレントを見たことがない。しかし牛や豚だってその血は生臭い。なのに臭くないことになっている。
肉屋で買ってきた鶏肉だって、生肉はかなり血生臭い。哺乳類も魚類も、生き物の血は大抵血生臭い。ほとんどの人はそれを自分で確かめたこともないのに他人から聞いた知識を鵜呑みにする。昨今はネット上にいい加減な情報が溢れている。半分以上は意識的に選択され操作された情報や全くのデマだ。

アメリカのトランプ大統領は自分に都合の悪いニュースだけを取り上げて「フェイクだ!フェイクニュースだ!」と言う。ではこの世の中にフェイクでないニュースなどあるのだろうか。ニュースとして取り上げるか取り上げないかの選択には何らかの思惑が働いている。一時は盛んに騒いでいた「あおり運転」や「高齢者の事故」もあまり騒がれなくなった。それよりもオリンピックの話題のほうが視聴率が取れるからだ。

すべての情報には何らかの思惑が含まれている。今では自分の目で直接確認したものでさえ疑ってかからなければいけない時代だ。
世の中の半分以上はフェイクでできている。