監視カメラ

繁華街に監視カメラや防犯カメラが設置され始めた頃のことを覚えているだろうか。「プライバシーの侵害だ」「肖像権の侵害だ」「個人情報が…」と大騒ぎしたものである。
あれから20年余り。繁華街はもちろんのこと、駅、バス停、コンビニ、駐車場、料金所、遊園地、スキー場、ホテル、デパート、エレベータ、公園、交差点、個人商店、個人宅等々に至るまで防犯カメラのないところを探すほうが苦労するほど監視カメラはあまねく普及している。中にはダミーで、外見だけで中身なしのものもあるのだろうが、それにしてもものすごい普及だ。「防犯」と謳うが防犯はもちろんのこと犯罪の捜査にも活躍している。昔だったら”お蔵入り”していたような事件も監視カメラのお陰で検挙される事件も多くなったはずだ。

先日、佐賀県で自衛隊のヘリが墜落した事故では車に搭載されていたドライブレコーダーが記録していた映像が報道に使われていた。
高速道路で起きたある事件をキッカケに、個人の車にもドライブレコーダーを付ける人が急激に増えた。カーショップでは一時、ドライブレコーダーが品薄になるほどだったという。今回、ドラレコが記録した映像はショッキングだった。事故発生直後は「天候のせいではないか」「パイロットのミスも考えられる」「整備不良か」などとあちこちの”専門家”が推測していたが、翌日公表された映像には壊れながら真っ逆さまに落ちていくヘリの様子が映っていた。どうやら天候不良の線は消えたと思われ、機体のトラブルと考えるのが順当な線なのだろう。映像にはこうして原因を一気に絞りこめるほど「百聞は一見にしかず」の圧倒的な説得力である。

自動車事故などでも、いくら口で言うよりも証拠を見せれば相手を納得させる力は強力だ。数年前に知り合いが飲酒運転の車に正面から衝突されて重症を負った。相手の車の運転手は「ちゃんと道の左側を走っていた」と証言したらしいが、映像にはセンターラインを超えて猛スピードで突っ込んでくる車が映っていた。もはや言い訳のしようもない。
長野県の軽井沢近くで大学生を乗せたスキーバスが暴走して多くの死傷者が出た事故では、バスにはドラレコが付いていなかったが、道路に設置された監視カメラがノーブレーキで暴走するバスを捉えている。

証拠は絶大な威力を発揮する。映像だった場合はなおさらだ。
ところがセールスの現場で”証拠”と言われるものになると「お客様の声」だったり「使用前使用後」の写真だったりして「ヤラセじゃないの?」と疑われても仕方のないものを「証拠」だとしている。特にダイエットや健康食品になると特に胡散臭い”証拠”がどっさりと使われる。ここまでいくと信用問題になりそうなものだが、この手の商品は、買う方も今まで散々に他のものを試している場合が多い。最初から「どうせ大して効果はないだろう」と分かっていて手を出すので思ったほどトラブルにはならないらしい。

またこの手の商品は”定価”を高くする代わりに「初回半額」などとするので買う方も”損した感”が和らぐのはもとより、少しでも「自分がお金を払って買った」行為を正当化しようとする心理がはたらく。「飲み始めたら最近何だか調子が良くなった」などというのはまさにこうした例だ。具体的なデータがなくても、いやデータが取れないからこそ良い方に自分の気持ちを誘導して納得しようとするのだ。
具体的にどこがどれくらい改善したのかを定量的に比べることができないものはこういったマヤカシが通用しやすい。もっともこんなやり方も間もなく禁止されるので関連産業は今が駆け込みどころなのだろうが。