ダンドリを考えない人

■そうだ、歩いて来たんだった
何かを始めてみたのはいいけれど、途中で何をしたらいいのか分からなくなって立ち往生してしまったことはないだろうか。最初のうちはやることも見えて結果も出てモチベーションも高いのにある時にいきなり「はて?どうすればいいんだっけ?」と途方に暮れてしまう。例えば月に一回の買い出しに行くとしよう。場所は歩いて30分ほどのスーパー。お店に着いて買い物を始める。野菜を買って肉を買って…こんなものかと店内をウロウロとしていると牛乳がなかったことを思い出してカゴに入れる。

そういえば醤油もなくなりそうだったとカゴに入れる。おっとトイレットペーパーもなかったんだっけ、などと歩いているうちにやがてカゴの中身が山盛りになり持つ手も痛いほどだ。もうこれくらいにしておこうとレジで会計を済ませて袋に詰める。今日は随分買っちゃったなぁと袋を下げて駐車場に向かおうとしてハッと思い出す。今日は歩いて来てんだと。駐車場まで持ってきただけで重くて指が千切れそうなのにこれから30分も歩いて家に帰らなきゃいけないことに初めて気づく。どうして買い物の最中に思い出さなかったんだろう。オレってダンドリが悪いなぁ。

■一段落するまでの作業を考えておく
何かを始めたら幾つかの作業がひとかたまりになる。
先の買い物でいえば、

①身支度をする
②何らかの方法でスーパーに行く
③必要なものを買う
④買ったものを家に持ち帰る

ここまでが一連の流れだ。ルーティーンといってもいい。買い物に行ったのに”行っただけ”で終わることはない。買って来なくては意味がない。もっと細かくいえば、家を出てから帰ってくるまでの間が快適な服装に着替えなければいけないしスーパーでは買うものを思い出せなくてはいけない。そして必要なものを買うだけのお金も持っていかなければいけないし、どれだけのものを買うのかを考えて行き帰りの手段を考える必要もある。買ってきたものを仕舞うだけの冷蔵庫のゆとりもなくてはいけない。
一つひとつの作業を終えてから次の作業にスムーズに繋げるための準備をしておかなくてはいけない。いわゆるダンドリである。一つの作業を終えてから次の作業のことを考えるようでは手遅れなのだ。

■心構えをしていますか?
先日、東京では雪が降った。積雪もあって各地で道路や鉄道がマヒ状態になった。天気予報では、雪が降って積もるだろうということは何日も前から予想していた。鉄道などがマヒすると一度に多くの人に影響が出るので公共交通機関は前日から「少なくとも明日の午前中は大幅にダイヤが乱れます」と言っていた。だから多くの人は通勤などに時間がかかることを予想して早めに家を出た。しかし「大丈夫だろう」とタカをくくって何も準備しない人もいた。ニュースのインタビューでは「電車が遅れてホントに困ります」と言っていた。しかしこれは自業自得である。ダンドリが悪いから困ったことになっただけだ。ダンドリのいい人は前夜から泊まり込んだりホテルを予約したりしていた。だからそういう人はあまり困らなかった。心構えの問題なのである。

道路に積もった雪で車が立ち往生して大渋滞も起こった。立ち往生したり事故を起こした車の多くは夏用タイヤのままでチェーンも巻いていなかった。雪が積もればスタッドレスタイヤでさえ立ち往生することがあるのに何も準備していなかった。そんな人は必ず言う。
「こんなに積もるとは思いませんでした」
見積もりが甘いんである。ダンドリが悪いから他の人にも迷惑をかける。

北国でも寒波で猛吹雪の中、杖をつきながら外を歩く老人がいる。「今日出掛けなくちゃいけないの?」と言いたくなる。病院の予約だってキャンセルできるだろう。一日くらい買い物に行かなくたって餓死することはないだろう。そんな中出掛けて行って何かあれば誰かに迷惑をかけるだろう。そもそも今日、猛吹雪になることは昨日から分かっていたことだろう。一日くらい家の中で我慢することはできないんだろうか?

最初から結果の予想がつくのに何も準備しない人、これから何をしたらいいのかが分かっていない人、終わりまでの道筋がわからないのにすぐに始めたがる人、ルーティーンの終わりまでが見えていないのにやりたがる人。そんな人をダンドリの悪い人という。そして何をやっても中途半端でニッチもサッチもいかなくなるのだ。

このところ将棋の中学生棋士の活躍が報じられている。将棋は何手か先の相手の動きを予想して自分の戦略を考える。最後までの手を読み切ることは難しいかもしれない。それでも常に先を考えて行動する。彼らの思考に学ぶべきことは多い。