高齢者のパソコンスキルの話ではない。人間もパソコンも古くなると性能が落ちるという話だ。当たり前の話だが、パソコンも買った時が一番新しい。スイッチを入れた時の立ち上がりもいいし動作も機敏だ。クリックにもサクサク反応するので気持ちがいい。

だがソフトを何もインストールしていないパソコンにできることは何もない。メールやブラウザ、Officeなどのソフトをインストールして設定をすることでできることが増える。最小限のソフトだけをインストールして使い始めた頃にはまだまだ反応も早く、若い頃の自分を見ているようにキビキビとしている。

しかし何年も使い続けているうちにパソコンはだんだんと動作が遅くなっていく。大抵の場合はインストールするソフトが増えているのでそのせいもあるだろう。しかし基本的にはソフトはインストールしても起動しない限りはCPUにもメモリにもハードディスクにも負荷を与えないはずだ。しかし多くのOSはソフトを起動していなくてもバックグラウンドでインストールされたソフトを監視しているのでパソコンになんらかの負荷をかけている。

またメールソフトなどをはじめとして使っているソフトの中に大量のデータやゴミが溜まってくる。特に画像や映像編集をするパソコンには膨大なゴミが溜まりがちだ。これらもパソコンの性能を圧迫する。そうやって経年によって動作はますます遅くなる。

人間も生まれた瞬間が一番フレッシュだ。それからしばらくは勉強したり経験を重ねることで人間としての相対的スキルは向上する。そうやって20〜30年は体力的にも知能的にも右肩上がりになる。できることが増え、経験が多くの知識を蓄え、多くの問題を切り抜けられる力を持つことができる。

しかししばらくすると人間もパソコンと同じように各所に「カス」が溜まってくる。パソコンのハードディスクが経年劣化するように記憶力は衰え、筋力は低下して早く走ることも重いものを持ち上げることもできなくなってくる。一般にパソコン部品のCPUもハードディスクも経年劣化して新しい時の性能は保てなくなってくる。それはパソコンの中のディスクをクリーンアップしても再起動してメモリを綺麗にしても新品のように元に戻ることはない。なぜなら経年”劣化”なのだから。

人間も同じようなものかもしれない。歩くだけで息が切れたり舗装されたアスファルトの道で躓いて転んだりする。だんだんと劣化して行動が制限されるならまだ対応できるが、運悪くある時突然に心臓が止まってしまったり血管が破裂したりすると一瞬で一切の動きを止めてしまうこともある。

どちらもやがてあちこちにトラブルを抱えてうまく動かなくなる。動作が遅くなったりするだけならまだ我慢もできるが、時にはスイッチを入れてもうんともすんともいわなくなったりする。まさに人間のライフサイクルに似ているではないか。