ルールを作ってもそれを破ったときのペナルティがなければ守る人がいないということは昔から言われてきた。いわゆる「ザル法」だ。新型コロナの感染が広がり始めてから各自治体や政府は緊急事態宣言などを出して飲食店などの営業時間の短縮や休業、酒類の不提供を”要請”してきた。

一方、中国や欧米諸国など多くの国では「ロックダウン」を行って法的な強制力のある措置を行ってきた。それでも多くの国では日本の100倍もの感染者や死者を出してきた。一時はマスクの着用まで強制していた。それでも感染の波はなかなか治らずに1年半が過ぎた。

この春から各地で新型コロナのワクチン接種が本格的に始まっているにもかかわらず、世界各地はもちろんのこと日本でもこのところ毎日倍々ペースで感染者は増えている。折しも東京では1年延期されていたオリンピックが開催され、街中にもお祭りムードが漂っているせいか、一時は減少していた各地の人出もほとんど元に戻っている。

これが感染拡大と関係があるのかはわからないが、少なくとも昨年、最初の緊急事態宣言が出されてリモートワークなどで人出が減ったときには感染者数も減少した。8月になって一都三県や大阪、沖縄には再び緊急事態宣言が出されたが、各地の人出はほとんど変わっていない。「え〜、またぁ〜」「もう我慢できない」「飽きてきた」などという声がそこここで聞かれ、猛暑もあってマスクを外している人も散見されるという。

人出が増えているということは伝染病に対する警戒もタガが外れているということだろう。冷静に考えれば伝染病の予防に「(対策に)飽きた」などということはありえない。飽きたからもう何をやってもいいということにはならないはずだ。「もう食べていかれない」という飲食店も多いが要請を無視して営業を続けている居酒屋も数千に及んでいるという。これ以上に感染が拡大してロックダウンされるようなことになれば本当に息の根を止められることになりかねないというのにだ。

これまでボクは、日本人は比較的「分別のあるいい人」が多いと思っていたが、ここに来て「やっぱり人間は似たようなものだな」と思い始めている。日本人としての分別がなくなるということは日本人の精神を捨てたということだろう。「精神の国」と言われてきた日本でこんな状況を見るのは返す返すも残念でならない。