朝の情報番組で「夏休みの自由研究」の話をしていた。ボクらが子供の頃の自由研究といえば、普段の授業や生活、遊びの中から「なんでだろう?」と思った不思議について自分なりに実験したり図書館で本を調べたりして、その考察を発表するというようなものだった。もちろん当時から「東海道本線の全駅名が言えます!」などという「どこが研究なんだよ!」と思う発表もあったにはあったが、”研究”ということの意味や何をしたらいいのかわからなかった子の苦し紛れだったのだと思えばかわいいところもあった。

その後、東急ハンズで「自由研究キット」を買ってきて、キットの中にある道具を使って”実験”をして、キットの中に入っている”結果ノート”にデータをまとめて、大人が誘導したと思われる結果に合致するように結論づけた「研究結果」をまとめるのが流行ったと聞く。

その番組で言っていたのは「自由研究のトレンド」ということだった。トレンド?自由研究になんでトレンドが必要なの?と思ったが、子供の世界には子供の世界だけの流行もあるのだろう。

「トレンド:trend」は時代や流行などの流れや方向のことだ。今の子供の「はてな?」にどんな流行があるのか興味があったので聞くと話に聞いていたら、今の流行は「SDG’s」なのだという。SDG’sとは国連が定めた「持続可能な開発目標」のことで、『貧困をなくそう」とか「(男女や人種などの)差別をなくそう」といった17のゴールが定められている。

これに対して「どういう取り組みをすればいいのか」を研究するのがこの夏のトレンドなんだという。崇高な目標だし間違ったことは何もない。子供の頃からこんなことを考えている子供なら将来、どんなに素晴らしい大人に育つのだろうと心強い限りだ。

でも冷静に考えて欲しい。中高生ならまだしも小学校低学年の子供が「働きがいも経済成長も(実現しよう)」などと思うだろうか。どう見てもこれは大人の都合で子供に押し付けた”不自由”研究だとしか思えない。

そもそも自由研究にトレンドを取り込む意味はなんなのだろう。「今流行ってるから」急に不思議に感じるようになるのだろうか。もっとも今時の都会ではセミの抜け殻もカマキリの卵も見かけることは少ない。自然と触れ合うチャンスが減っている。不思議の宝庫である自然がなくなれば人が人工的に作り出したり壊してしまった自然が目につくのも仕方がないことだろう。

そんなものばかりが溢れている今の社会に暮らす子供たちを可哀想だと思ったりもするが、話題になっていたり流行っているものを夏休みの宿題の結果として持っていったほうが学校でいい成績を取れると考える大人たちの思惑も見え隠れする。多様性や自主性ということが教育現場でも問題になっているが、「大人が与えたものをいい子でやっていれば立派な大人になれる」という思想の中に多様性が育つのか甚だ疑問だ。