といっても何のことだかわからない人もいるだろう。インターネットでWebサイトを閲覧するためのブラウザソフトだ。ボクは長い間「Firefox(ファイヤーフォックス)」というソフトを使っていたが、だんだんと動きが遅くなってきたのでしばらく前から「Safari(サファリ)」というMacOS専用のブラウザを使っている。

先日、プログラムの開発環境を設定していたら「『Google Chrome』(クローム)だけしか動作の保証をしません」というソフトを使わなければいけないことになって仕方なくクロームを使うことになった。しかし普段から2つのブラウザを両方とも立ち上げておくのも不便なので、この機会にクロームに乗り換えてみようかと思ってしばらく使ってみることにした。

使い始めて1〜2日で音をあげた。とにかく使いにくい。いや使いにくいというのは語弊がある。使い勝手に慣れないのだ。よく使ういつものボタンがいつもの場所にないだけで相当のストレスだ。洗面所のいつもの場所に歯ブラシがない、タオルがない、石鹸がないのに似ている。習慣になって目をつぶっていてもそこに手が伸びるようになっていたら、その先にあるはずのタオルがなければ面食らってしまう。そんな状況になった。

その上、今のブラウザの多くではWebサイトのID、パスワードを記憶しておく機能があるのだが、別のブラウザに変えたことで今まで覚えさせたID、パスワードが全く使えなくなる。全部覚え直させなくてはいけない。まさに「パーソナルコンピュータ」である。完全に個人に最適化されている。だからそのブラウザで新しいサイトを見るたびにパスワード管理ソフトを開いて、使っているIDとパスワードを調べては入力して記憶させる。今やボクの使っているブラウザで記憶しているパスワードは優に1000を超えている。いつまでこの作業を続けなければならないのかと思うと気が遠くなる。

1週間ほど我慢していたが耐えきれなくなってまたSafariに戻してしまった。今ではChromeしか動作しないソフトを使うときだけ仕方なくChromeを使っている。いや決してChromeが使いにくいわけではない。ただ慣れていないだけだ。おそらくChromeも使い続けていればそのうちに慣れて使いやすくなるのだろうと思う。洗面所の歯ブラシやタオルもしばらくすれば困らなくなるはずだ。しかし歳をとると余計に変化というものに弱くなる。変化の対応できない。すぐに拒絶しようとする。

厳に戒めるべきことなのだが、老いたのだからこれも仕方ないよなと自分を慰めている。でも少しでもボケが遅くなるように時々は意識的に新しいものを取り入れて生活に変化をつけている。果たしてこの努力はいつまで続けられるのだろうか。