タレントのマツコ・デラックスがクロネコヤマトのCMに出ていた。

♪ピンポ〜ン
「ほらぁ、やっぱり来ると思ったのよぉ〜」

と洋式トイレの便器に腰掛けながら腹立たしそうに叫んでいた。どうしてピンチは一番都合の悪い時にやってくるのだろう。いや普段なら宅配が来るのは決してピンチではない。トイレに入っているほんのわずかな時間にかち合ってしまったからピンチになっただけだ。

チャンスも宅急便も、あらかじめ来ることがわかっていても何時間もトイレにも行かずに待機しているわけにはいかない。ましてや家に一人しかいなければ尚更だ。二人以上いればどちらかはトイレに行かずに待っていれば良いのだが、一人きりではどうしようもない。

どういうわけかピンチもチャンスも隙を突いてわずかな瞬間にやってくることが多い。チャンスはいつやって来ても良さそうなものだが、偶然忙しくて時間が取れない時に限って千載一遇のチャンスはやってくる。チャンスなら他のことを差し置いてでも取り組めばいいのだが、すでに約束してしまったことを放り出してしまえば、せっかく築いた信用を失うことになる。

思い出されるのはサービス業に勤めているとき、お客さんが来店する時にはなぜか集中してやってくるということだ。それは専門店でもスーパーでも飲食店でも変わらない。それまでガラガラだったお店がほんの5分くらいの間に一気に満員御礼になることは珍しくない。予約制の店ならお客の休日の都合もあるのでわからないではないが、そうでなくてもお客の来店には波がある。

従業員から見れば「そんなにまとまって来なければもっといいサービスが受けられるのに」と思うのだが、そんなことを知ってか知らずかお客は密になって団体のようにやってくる。それは街中のランチタイムのレストランのようだ。少し時間をずらせば行列もせずに快適に過ごせるのに、どういうわけかみんな行列の最後尾に並びたがる。

昨今、「三密」を避けるように言われていても規制が緩和されるとみんなすぐに群れたがる。群れをつくりたがるのは人も犬と同じように「社会性」を持った動物だからなのだろうか。それでも「クロネコ」は都合の悪い時に限ってやって来る。