子供の頃、刑事ドラマといえば「太陽にほえろ!」だった。ショーケン(萩原健一)が出てきて、勝野洋が出てきて、松田優作が出てきて…。それはもう今となってはオールスターキャストだった。

捜査1課のボスが今は亡き石原裕次郎で、捜査1課の窓のブラインドを指でコチョっと開いて外を眺めるポーズを、ブラインドのある部屋に入った当時の子供は必ず真似したものだ。

当時はまだそんな呼ばれ方はしていなかったが、テレビドラマで「西部警察」などが始まって、渡哲也や舘ひろしがショットガンをぶっ放すようになった頃には「石原軍団」の名前で呼ばれるようになった。”軍団”の規律はかなり厳しかったという話も風の噂で流れてきたし、あの男臭い集団の中では然もありなんと思った。

規律が厳しいということは、「ナメられんじゃねーぞ!」という雰囲気も十分にあったと思われる。ナメられないということは、逆にいえば相手に対しても礼を尽くすということかもしれない。だから仕事相手が職責上どんなに下位の人であろうとも、初めての打合せには必ず軍団のトップが挨拶に出たという。それは任侠の世界で相手が仁義を切る時には自然に畏ったという映画の世界のようなものかもしれない。

戦前の教育を受けた人が「恐れ多くも賢くも…」と号令がかかった時に自然と敬礼をするように、初対面に人間に「おひかえなすって…」と言われれば、どんなに殴り合っている最中でも一時停戦して相手の仁義を受けるというのが最低の礼儀だったのだろう。

昔の戦でも戦いが始まる時には「やーやー我こそは…」と名乗りを挙げたらしい。出会い頭にいきなりピストルで撃ち殺すのは、日本人から見れば卑怯で非礼なことだったに違いない。

石原軍団では、「トップは誰に対しても礼を尽くせ」という掟があったという。トップの礼儀は組織全体の礼儀だとみんなに見られている。非礼をはたらけば「礼儀も知らない」と組織が見くびられる。

どこかの政治政党の重鎮のように、自分の家来が犯した犯罪を「他山の石として」などと言ってシャアシャアとしているのはただの腐った日本人でしかないと思うのはボクだけだろうか。