といっても休暇を返上しての出勤ではない。週末の、いわゆる世間様の休日に仕事をしている人である。サービス業や物販業ではごく普通のことだ。というより週末に仕事が休みになることはまずない。製造業などでは週末に休みの人が圧倒的に多い。その人たちは週末にこぞって遊びに行くのだから、その受け皿になるいわゆる接客業の人は書き入れ時になるので休めるわけがない。

それは普段の週末だけでなく年末年始やGW、春休みやお盆を含む夏休みでも同じことだ。この20年くらいの間に続々と祝日が増えたせいで大型連休が増えている。唯一平常の日々が続くのは6月だけだ。裏を返せば接客業では大型連休は大型連続出勤になる。世間が「今年のGWは最長で15連休の人も…」などと言っている裏では「ひえ〜、15連勤かよぉ〜」などと泣いている人もいる。しかもその間は普段の倍以上に忙しい。

世間の休日にスタッフ全員が出勤していれば連休が終わった途端に休暇を取る人もいる。しかし同僚が休暇を取れば誰かが出勤してシフトを回さなければいけない。だから大型連休の前後を含めれば1ヶ月間ほども出勤し続ける人もいる。

どういうわけかそんな役回りの人は毎回同じメンバーだ。下っ端で立場が弱い人かといえばそうでもない。怒涛の連休が終わると休みに入る同僚に「お疲れさま!ゆっくりと休んでね」なんて言っている。そして自分は泣き言ひとつ言わずに出勤し続ける。「年末年始のときもそうだったんだからGWくらいは連休が終わったら休めばいいじゃん」と言っても、「そうしたら代わりにあなたが出勤することになるでしょ」と言う。

自分が辛い役回りを引き受ければ他の人が楽をできるからと、いつも自分のことは後回しにする。たぶんそういう性分なのだろう。でもごく稀に「今回は絶対にすぐに休みな!」と言って休みを取らせると「いやー久しぶりにのんびりできたー!ありがとう!」と休み明けに清々しい顔で出勤してくる。でも「悪かったな、ずっと出勤させて」と出勤していた仲間への労いも忘れない。

辛い経験をしている人は他人の痛みがわかる。連休明けにいつも「みんな休んでたんだから今度は私の番よ!」と言って長期の休みを取る人は自分の休暇明けにもずっと出勤していた仲間に「あー楽しかった!みんなもゆっくり休めた?」などとしゃあしゃあと言う。まぁそう人だからとみんなも黙っているが、そういう人とはなかなか信頼関係を築けない。
信頼関係とはそんな小さなところで築かれたり壊れたりする。