伊豆半島の付け根、「小田原市の石橋」といえば真鶴道路の渋滞の起点として有名なところだ。週末の夕方ともなればラジオの交通情報でも、「真鶴道路は小田原市石橋を先頭に上り方面の車が10キロの渋滞です」と”必ず”報じられる。


東伊豆に行くことの多い人はご存知だと思うが、この「石橋」というところには信号機が1つある。かつてはその信号機の横に「舞網(マイアミ)」という小さな小汚い(失礼!)食堂があったので、ボクはこの渋滞のことを勝手に「マイアミ渋滞」と呼んでいた。舞網でも1度だけ食事をしたことがある。今はもうない。

なんに変哲もない押しボタン式の横断歩道のために付けられたこの信号は、さほど赤信号の時間が長いわけでもないのに毎週10キロ以上の渋滞を作り出す。そして不思議なことにこの信号を過ぎると、車の流れは信じられないほどスムースになり必ず快適に走り出す。

最近、訳あって神奈川県中南部にある平塚と三浦半島の横須賀を行き来する必要があり、毎週のように湘南海岸を車で走っていた。コロナ禍で混雑した公共交通機関に乗るのも憚られたし、なんといっても平塚から横須賀に向かうには一旦横浜まで出てから乗り換えるか、すこぶる不便なJR横須賀線を使わなければならない。その上、交通費が電車で行くよりも車の方が安いのだ。

しかし今年に入ってからは緊急事態宣言下でも湘南にやってくる観光客は激増し、中でも江ノ島から鎌倉までの国道134号線はみっちりと渋滞するようになった。そしてここにもなぜか渋滞を引き起こす不思議な信号がある。「行会橋(ゆきあいばし)」という小さな交差点の信号だ。カレーで有名な「珊瑚礁」のすぐ近くだ。

「珊瑚礁」といえばかつて映画「彼女が水着に着替えたら」で織田裕二と原田知世が訪れた店としても有名だ。ボクは残念ながら山の上にある本店にしか行ったことはないが、あの混雑を目の当たりにするとたぶん行くことはないだろうなと思っている。

40年ほども前には寂れた点滅信号か直進矢印しか見たことのない交差点で、渋滞することなどまったくなかった。どちらかといえばアクセル全開で猛スピードで通り過ぎていた(よい子のみなさんはマネしてはいけません)。

ところが最近になって通りがかると、江ノ島を通り過ぎてすぐ、鎌倉市に入った途端に猛烈な渋滞が始まり、それはアニメ漫画の聖地らしい江ノ電「鎌倉高校前」近くの踏切を過ぎてもおさまらず、必ず「行会橋(ゆきあいばし)」の信号まで続いている。ところがここでもも信号を過ぎた途端に流れ始めることが多い。

もちろん大混雑の時には稲村ヶ崎や由比ヶ浜を越えて、鎌倉の鶴ヶ岡八幡宮に曲がる滑川(なめりかわ)交差点まで続いていることもあるが、比較的まれだ。

この交差点には今では昔なかったものができている。コンビニだ。しかしこのコンビニに出入りする車が少ない時にも相変わらず渋滞している。「珊瑚礁」が営業していなくても渋滞している。どうしてここが渋滞に起点になるのかいまだにさっぱりわからない。

そんなことを言っているうちに横須賀に行く用件もなくなり、もうあの渋滞に捕まることもないかと思うと清々している。なんとも不思議な信号があるものである。