誰も興味がなさそうなことこそ面白い

NHKの「ブラタモリ」という番組がある。タレントのタモリさんが女子アナと全国の各地でブラブラと散歩をしながら、その土地のガイドさんや研究者のオススメする名物を見て回るという番組だ。だがそこでオススメされる”名物”は大抵の場合、岩石や地形などである。

岩石は学生時代に地学の教科書で簡単に触れたくらいで、今となっては火山岩(火成岩)と砂岩くらいしか覚えていない。しかも火成岩や砂岩の種類はほとんど忘れてしまった。ところがタモリさんは岩石に興味があるらしく、アシスタントの女子アナが「???」となるような岩石の名前を平気で口にする。

例えば「チャート」。ボクにとってのチャートとは海図だったり懐かしき「チャート式」の参考書だが、岩石のチャートは海底などに堆積したもので、プレートの移動とともに地中深くに取り込まれて高い圧力がかかり、非常に硬くなっているものがある。それが地形の隆起などで地表に露出していたりするのだが、タモリさんたちは日本の山奥でそんなものを見せてもらったりしている。

もともと海の中でできたものが内陸の山岳部で見つかったりするのだから地殻構造とはダイナミックなものである。特に日本は、フィリッピンあたりからフィリピン海プレートに乗って移動してきた伊豆半島が本州にぶつかって、そこに太平洋プレートと北米プレートの圧力がかかって出来上がった丹沢山地などのように、プレートの沈み込みによって出来上がった火山性の山地と圧縮されて隆起した地形で出来上がっている。プレートの縁にあるのだから当然だが、逆に言えばそういう場所だから日本列島が出来上がったともいえる。

岩石や地殻の他にも様々な地形がもたらした文化というものもある。川が山から運んできた土砂によって作られた扇状地周辺の農業文化や、川の流れによって削られてできた河岸段丘は古くから城郭都市を置くのに優れた地形であり、大阪城や名古屋城、仙台の青葉城などが知られている。

他にも日本中どこにでもある断層、海底にあった石灰岩が隆起して出来上がったカルスト台地や鍾乳洞、阿蘇を始めとしたカルデラ、会津の磐梯山や富士山、浅間山などの山体崩壊など、普段は観光地の名産品やグルメの影に隠れて見えなかったところにこそ、その土地の文化がそこにある訳が隠されていたりする。

ボクは子供の頃、鉱物標本を持っていた。40種類ほどの石が木の箱を細かく区切った中に収められていた。誰からもらったのかわからない。もらったわけでもなく昔から家にあったのかもしれない。中でも水銀(毒物)は常温では液体なのでガラスの瓶の中に入っていた。瓶の中でコロコロと動くのだが妙に重くて(比重が大きくて)びっくりした覚えがある。

玄武岩(げんぶがん)という岩がある。特に珍しい石ではない。噴出したマグマが流れ出る時に固まってできた岩石だ。兵庫県の城崎温泉近くに玄武洞という観光地があり、玄武岩の織りなす絶景が有名で、これが玄武岩の名前の由来だという。とブラタモリで言っていた。

こうした地形や地層の成り立ちから現在の姿になった必然性が見えてくると、仮に間違った仮説だったとしても興味が湧いてくる。ボクには土地の名産品やグルメも魅力的なのだが、そんな観光客が誰も目をつけなかったことにこそ魅力を感じてしまうのだ。

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