コロナ騒ぎが始まるずっと前から「働き方改革」と言われてきた。「日本人はよく働く」「企業戦士」などと煽てられていい気になっていた。しかし見方を変えれば非効率で残業ばかりしており、賃金が安くて残業代で稼がないと生活できないというのが現実だったりする。残業するためにやらなくてもいい仕事を増やし、非効率な作業を改善しない。誰でも思い当たるのではないだろうか。

仕事で半年ほど大阪にいたことがある。それまでは月曜日に新幹線で大阪に行き、金曜日までホテルで生活して土曜日の朝に新幹線で東京に戻るという生活をしていた。転勤の辞令が出なかったのでそうせざるを得なかったのだが時間と経費の無駄遣いだった。その後、会社と交渉して大阪の社員寮やウイークリーマンションを転々としながら大阪暮らしを始めた。

大阪での仕事は社内会議と顧客との打ち合わせだった。今ならリモート会議で東京から簡単に参加できるが、当時の「オンライン会議システム」はインターネット回線ではなく社内の専用回線しか使えなかったので、「社外の顧客とは打合せができない」ことになっていた。

顧客の会社も東京と大阪に拠点があったのだからそれぞれが東京都内と大阪市内で集まればできないことはない。しかしなぜかオンライン会議システムには社外の人間が参加してはいけないという”決まり”になっていた。

今はコロナ禍もあってテレワークが行われている企業もあるが、特に中小企業の多くではインフラが整備されていないことと「テレワークに向かない業態」を理由に導入が進んでいない。しかしテレワークは本当にできないのだろうか?なにも業務の全部をオンラインでやれと言っているのではない。一部をオンライン化することで業務を大幅に効率化することだって可能なのだ。

それでも毎朝、全員を事務所に集めて”朝礼”をしないと気が済まない”社長さん”が多い。社員は現場から遠く離れた事務所にいったん集まって”朝礼に参加して”から現場に向かわなければならない。現場の仕事が終わったらいったん事務所に戻って”報告書を書いて”からでないと帰れない。朝礼で話すことも報告書もオンラインで済むことばかりなのに、「社長さんのつまらないこだわり」で社員に大きな負担をしいていることがわかっていないのだ。

つまり自分がやりたくないから「できない」と言っているだけではないのか?「書類に押印しなければいけない」という業務フローがあるだけで「テレワークは無理」と言っていないか。例えば押印するということを他の手段で代替えできればいいだけなのではないか。多くの現場に立ちはだかる問題を解決しようとしているか?

電話が普及する前には「郵便でなければ無理」「出張しなければダメ」と言っていたのではないのか。それがいつの間にか電話になりメールになった。メールが使えない人は自然に淘汰されていった。今はリモート会議やテレビ電話がある。同じことだ。今まで通りのやり方をそのまま持ち込もうとするから無理がある。新しい技術を使いこなせるのは”柔らか頭”のデキる人材だけだ。できないできないと言っているとそのうち「それならうちには要りません」とお払い箱にされてしまうだろう。

これからの時代、仕事を奪っていくのは何もAIだけではない。かつて自動車やロボットやコンピュータがそうだったように今度はホワイトカラーのほとんどの仕事が奪われていく。生き残れるのは工夫のできる人材だけだ。あなたはそんな時代を生き残っていく自信があるだろうか。