年寄りはなぜ頑固になるのか

先日、福祉施設の人と話をした。家庭の事情などを話す中で「お父様はどんな性格ですか?」と訊かれたので、「他人の言うことは素直に聞くのに身内の言うことには頑固で耳を貸さないんです」と言うと「どこも皆さんそうらしいですね」と苦笑いしながら話してくれた。うちばかりが特殊なのかと思っていたら「そんなことはない」と言う。気を遣っているのだろうか?

でも映画やドラマを見ていると物わかりのいいお年寄りばかりが出てきて頑固なわからずやは、あまり見かけない。いやそういう人が出てくるときにはその偏屈な性格を題材にしていることが多い。いないことはないが圧倒的に少数派だ。歳を重ねるにしたがって性格は温和になり柔和な性格が周囲から尊敬を集めるような人格者に仕立て上げられている。

しかし考えてみれば長い人生の中で少しずついろいろな経験を積み重ねながら作りあげられた性格であり生活スタイルだ。まったく異なる価値観を押し付けられても、自分が思いもよらなかった新しい考えや自分の今まで生きてきたスタイルと違う生活様式をにわかに受け入れられるものではないだろう。それまでの自分の生活やスタイルを変えたくないし変えるのが面倒くさいのだ。

年寄りは何よりも変化を嫌う。今まで通りが一番いいと思っている。ところが体力がなくなり病気がちになるとやがて遅かれ早かれ今までの生活が続けられなくなる時が来る。それでも生活を変えるのは面倒くさいので多少のことは我慢しながらダラダラと現状維持しようとする。自分のことなど放っておいて欲しいのだろうが放っておくと返ってこちらが迷惑なのでそうもいかない。だから無理やり変えさせようとする。

自分を変えたくないからそれを無理やり変えようとする人には反抗的になる。反抗的になって意固地になる。でも変えたくないからできなくなったことを他人にさせようとわがままを言うようになる。わがままを言って周囲を困らせようというのではない。自分の思い通りに生きようとしているだけだ。でもそれが周りの人間には迷惑でしかない。それがわからなくなっているからわがままを言う。

自分もやがて老いぼれて多かれ少なかれそうなっていくのだろう。そのときには”誰かの迷惑”など考えなくなっているに違いない。若い頃には小さな子供に「他の人に迷惑をかけてはいけません」なんてお説教していたのが人生の最後には自分がそうなっていく。悲しいことだがそれが現実なのだ。

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