デジタル機器を触る前から見たり聞いたりしただけで「難しそう」「使えるわけがない」と決めつける人がいる。それはずっと前の昭和の頃から変わらない。♪電話にFAX取り付けてダイヤル回してボタンをポン♪とFAXが出た頃から「無理!」と言っていた人もやがてコピーやFAXを普通に使うようになったが、ペーパーレスが叫ばれて久しい今でも最初はアレルギー反応を示したはずの時代錯誤の機械にこだわり続けている。

「ITアレルギー」といわれ、「デジタル機器は全部嫌い」と叫ぶ。でもきっとそれは食わず嫌いだ。昔は電話をかけるときにもなんらかの方法で相手の電話番号を調べてダイヤルを回していた。しかし今の子供はダイヤル式の電話機の使い方を知らない。生まれた時からスマホがあったのだから当然だ。それくらい昔の機器は使うのが難しかった。

それでもそんな複雑な機械を使いこなしていた人たちがより簡単に操作できるように工夫されたデジタル機器を見て「難しそう」「無理!」と拒絶する。難しそうに見えるのは昔よりたくさんのことができるように多機能を小さな機械の中に盛り込んでいるからだ。最初は簡単な使い方を覚えるだけでいい。スマホで電話をかけるだけならアプリをダウンロードする必要もないし昔の電話とさほど変わらない。

それでも使おうとしない人は「そんなものは使わなくたって用は足りている」と言う。でもダイヤル式の電話が世の中から消えてプッシュフォンになったときには仕方なくボタンを押して電話をかけたのだ。他の方法がなければ仕方なくやる。やればできるのだ。身の回りにある機械はほとんどが簡単な操作で使えるようになっている。そして慣れてしまえばとても便利なのである。

かつて電気洗濯機が出来た時も最初、祖母はタライと洗濯板を手放さなかった。洗濯槽が1つだけの電気洗濯機で脱水機は付いてなかった。洗濯機の端っこに付いていたローラーを手で回して絞る仕組みだった。1ヶ月も経つ頃、自分の娘が(自分と比べて)あっという間に洗濯を終わらせるのを見て「おばあちゃんも(洗濯機を)使ってみようかね」と言って使い方を教わっていた。そしてタライと洗濯板は物置にしまい込まれた。(すぐに処分できなかったのは明治生まれの気質のせいかもしれない)

頑固に古いやり方に拘っているとツマラナイ作業に途方もない時間をかけた挙句、結局は出来の悪い仕事しかできないということが多い。「使えるわけがない」ではない。使う目的がわかっていないだけだ。なんのためにその作業をしているのかを考えずに「今までそうしてきたから」とボーッとしていると効率化はおぼつかない。

先日、「クラウドサイン」という仕組みを目にする機会があった。ネット上で電子契約を行う仕組みだ。ITアレルギーが起こりにくいように体裁は今までの契約書に似せて作られている。多くの弁護士が登録している「弁護士ドットコム」という企業が提供している仕組みなのである程度の信頼性も担保されている。

こう言った仕組みを使うことで今までのように契約書に社内で押印申請を出したり、契約書を郵送や持参して契約を取り交わす手間が軽減されスピードも早くなる。きちんと契約を取り交わすことが目的であって「ハンコを押す」ことはそのための手段に過ぎない。それでも形式にこだわる人はまだまだ多い。

ハンコがなくなるまでにはまだまだ時間がかかりそうだが、部署内の回覧板に押印欄を貼り付けて全員が出社してハンコを押すというような非効率に気づくところから、情報共有ということの目的を考えるようになるのではないだろうか。