おせちもいいけど…

お正月も3日ともなると目出度い気分も徐々に薄れてダラケた生活になってきます。クリスマスから続いたイベントもそろそろ終わりに近づいて、家でダラダラと過ごす人、帰省帰りの渋滞で心身ともに疲れ切った人、パチンコやゲーセンにも飽きてきた人、街に出ても様々な人間模様が渦巻いているようです。

お正月に自宅や実家でお節料理を楽しんだお宅も多いことと思います。我が家ではお節料理を食べないので作ることも買うこともないのですが、実家にいた子供の頃は今のようにコンビニもなく、お正月に営業しているお店はありませんでしたから、三が日はお節料理で食いつなぐというような生活だったように記憶しています。でも3日目ともなると人気のあるおかずはほとんど食い尽くされ、歯抜けのようになったお重には比較的不人気なモノだけが廃墟のように残ってしまうというような、いささか寂しい風景になってきます。そこで登場したのが「おせちもいいけどカレーもね」です。
1976年から年末年始のお茶の間に流れたハウス食品の「ククレカレー」のテレビCMで話題となったキャッチフレーズで、当時人気絶頂だったキャンディーズが出演する名物CMでした。ククレカレー自体はそれ以前から発売されていましたが、レトルトカレーとしては大塚食品の「ボンカレー」の後塵を浴びて苦戦していました。そこで考えられたのが”お節料理に飽きたらカレーを食べよう”という戦略です。それもお正月にダラケきった亭主や子供の世話に疲れ切った主婦が、簡単に作れるレトルトカレーをオススメするという手際の良さです。お節料理や蕎麦が主流の正月シーズンをあえて狙う斬新な販売戦略とセリフ自体の語呂の良さもあって、ククレカレーがその知名度を大きく上げる一因となりました。

世間の常識にあえて逆行することで、何も考えずにダラっとお正月を過ごしていた消費者に「こんなのもアリじゃないの?」という提案をするのは今となってはありふれた手法です。でも今でも身の回りには”常識”や”普通”の仮面に隠れた生活様式がまだまだ残っているはずです。日頃からあらゆることに「何でだろう?」と敏感に反応する感覚を身につけることの大切さを思い出させてくれる出来事なのでした。