人類は今までにも経験していることが多い。例えば今回の新型コロナの感染拡大。伝染病という括りで考えれば日本にも天然痘の大流行があったしヨーロッパではペストなどが大流行してヨーロッパ人の約半数が死んだという記録もある。今起きている感染症の拡大も含めて自然災害というものを人類は今までなんらかの形で経験してきていることが多い。

でも人間は忘れっぽい生き物だ。過去に起きたことを忘れているか、当時とは状況が大きく変わっていて参考にならないこともある。かつての天然痘やペストが流行った時、人類は細菌やウイルスの存在を知らなかった。だからみんなで集まって密になってお祈りをしたりした。それが結果的に事態を悪化させることだとは考えもしなかった。

そういう意味で多くの場合は当時より状況は改善していることが多い。ある程度の原因がわかってきたり治療薬やワクチンが開発された病気もある。中には高い確率で直すことのできる病もある。

そういった例を見て「恐るるに足らず」などと言ったりする人がいないわけではないが(最近辞めた某国の大統領など)、そんな高慢ちきな人間がたくさんいるわけではない。多くの人は正しく恐れて冷静に対処しようとしている。温故知新、過去の経験から学びながらも100%同じことなどないのだということを理解している。

今流行しているウイルスはその特徴が少しずつわかりかけてきたが治療薬はまだない。「効果がある」といわれる薬も本当に効果があるのかは検証されていない。ワクチンも開発されつつあるが数ヶ月の開発期間や治験でどれほどの効果があるのかはまったくと言っていいほどわかっていない。「ワクチンができたからもう大丈夫!」と思っているのは一部の欧米人だけだ。

細かいところまでほじくり返せば初体験なことも大局的に見れば経験済みと見ることもできる。一から相手と対峙するのではなく柔道などで初対戦の相手に向かうときでも「前に対戦したフランス人はああだったっけな」と傾向を見ながら対策を考えることもできる。

大人である私たちは何も知らない幼い子供のように一から全部を試してみなくてもわかっていることもある。昨年12月の国内のインフルエンザ感染者累計は70人だった。一昨年の患者数は10万人を超えていたのにである。率にして0.07%以下だった。それはきっと新型コロナウイルスへの対応でほとんどの人がマスク、うがい、手洗いを頻繁に行ったことと無関係ではないと思う。

異なる感染症にも同じような対策が功を奏することもある。初体験だと思うことでも「どこかで経験したことはなかったっけな?」と考えることで意外なところに突破口が開けることはある。