人件費はタダなんだから…

「お役所仕事」とはよく言われる。遅い、非効率、不合理、怠慢、どうでもいいような枝葉末節にこだわる、上級庁や上司の顔色ばかりを気にする、無責任な丸投げ、汚職、官製談合、無駄遣い、などなどあげればキリがないほどとにかく公務員には悪い印象しかない。ほとんどの役人が人並みの仕事すらしないからだ。

試しにあなたの住む街の市役所や区役所に行って手続きをしてみるといい。住民一つ出してもらうのにどうしてこんなにもたくさんの人がグズグズと動いてなかなか出てこないのか腹が立つこと請け合いだ。これが民間会社で総務の女の子(男でもいいが)にプリントアウトを頼めばほんの数10秒で目的の書類を手にすることができるだろう。

しかしそれは窓口に立つ係員の責任ではほとんどない。そういった仕組みと平気で作ってきた歴史や強いて言えばお役所の風土がそうさせている。公務員たちには「利潤」と言う発想がない。会計でいう利益とは総収入から総費用を差し引いたものだが、経済学でいう利潤には総費用の中に「機会費用」を含める。機会費用とは何かを行った時に失ったすべてのものを指す。つまりなにか別のことをしていたら得られたはずの利益も機会費用として利潤から相殺される。

公務員は自分たちの給料は税金から出ているので利益が出ようが出まいが関係ない。無理して利益など出す必要がないと考えるわけだ。そのくせ与えられた予算にはシビアだ。お小遣いのパイは決まっているので予算はオーバーできない。もっともお小遣いは使い切れないと翌年から減らされかねないので余りそうだったら無駄遣いしても使い切ろうとする。もっとも今は財政難なので大っぴらにそんなことをすれば国民から叩かれかねない。

自分たちの人件費は税金から自動的に出てくるので人が動くことでお金がかかるという考えはない。だから自分が依頼したことに他の人が手間をかけて動いてもそれに対してお金を払わなくてはならないという発想にはならない。他の人も汗水垂らしても働くのはタダだと思っている。お金を払うのは何か物を買った時だけだ。

国民が個人で持っている車やビデオ、パソコンなどの電子機器などを持ち出しで使うのも、自分はお金を払っていないからタダと思っている。しかし個人の立場から見れば誰でもわかるように車を買うのも維持するにもビデオを買うにもお金がかかる。たまたまその時買ったわけではないだけで何がしかの経費をかけて維持しているわけだ。しかし「持っているんだから(タダで)貸して」と平気で言う。

こういう人には、かつてピカソが市場で通りかかった自分のファンだという見知らぬ人に絵をせがまれて30秒ほどで書いてあげた絵に「この絵は100万ドルです」と言った話を聞かせてやりたいものだ。ピカソの才能は長い間の努力とお金をかけて積み上げてきた成果だと言うことだ。30秒という時間給で測れるものではない。

でもそんな人にはそれを理解できるほどの教養も常識もないのでそっとしておいてあげることにしている。誰だって人前で恥をかかされるのは好きではない。

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