学校の教科書にも載っていたO・ヘンリーの短編小説なので覚えている方も多いだろう。若い画家の恋人同士が住むアパートの一室からは向かいの煉瓦造りの建物の蔦がよく見えた。ある時、恋人の彼女が思い肺炎にかかってしまう。

医者からは「もう助からないかもしれない」と告げられ、彼女は人生にも投げやりになってしまう。そして窓から見える蔦の葉が全部落ちた時に自分も死ぬんだ」と思い込むようになった。それを知った階下に住む絵筆を握ることもなくなっていた飲んだくれの老画家が…。

というような物語だったように記憶している。若い二人が見舞われた災難故に「まだ希望はある!」という物語の未来があるのだが、病に罹ったのが年老いた老人だったらどうだろうか。たぶん病に罹らなくても老い先の短い人生は近いうちに終わりを迎える。窓から眺める残された蔦の葉は残り少なく今にも散ってしまいそうだ。

もし自分がそこのベッドに横たわっていたなら、今際の際で窓から見えるそんな景色をどんな気分で眺めるのだろう。そしてそこに残された最後の一葉が精緻に描かれた絵だと知った時にはなんと思うだろう。やっぱり「死にとうない」と思うだろうか。

いや「もう余計な事はしないでくれ」と思うだろうか。まだ今のところ死に直面していないボクにはなんとも想像することができない。