もう15年以上も前に出版されて話題になった本だが、恥ずかしながら今頃になって初めて読んでいる。ベストセラーや話題の映画などに飛びついて尻尾を振りながら行列するのはカッコ悪くてなんとなく敬遠した覚えがある。今話題の人気映画「鬼滅の刃」もAmazonビデオでテレビ漫画版をコッソリ見ている。

当時は至る所で「バカの壁」が流行語になりその本質を勘違いしている人も「それはバカの壁だよ」と大声で叫んでいた。ボクは本を読んだ事はなかったが”バカの壁”が意味する事はおおよそ見当がついていた。「思考停止」という言葉も併せて流行していたのだが”バカの壁”は必ずしも”思考停止”のことだけを指しているのではないだろうなとも思っていた。

このコラムを読んでいる皆さんなら「そんなの知ってるよ」という方が多いと思うので細かい説明はしないが、バカの壁とはなんぞやということの例を挙げて延々と書いてある。それほどバカの壁は種類が多いらしいがそんな事はどうでもいい。

変化しているのは周囲であって自分自身は生まれた時からずっと自分だとほとんどの人は思っているしボクもそう思っている。しかし考えようによっては生まれ落ちてからずっと生き続けている細胞なんてないわけだし、常に新しい細胞が生まれては古い細胞が死んでいくという新陳代謝を繰り返して動的平衡を保ちながら我々は生きている。

自分はずっと変わらないと思っているのは自分だけで、今日の自分の一部分は昨日の自分とは入れ替わっている。そのことに気付いていないのは自分だけなのだが常に自分は自分だと思っている。自分だけは変わらないと思っているから死ぬのが怖い。変わらないはずのものが失われると思うから「死にとぉない」と思うのだろう。

とそんなことを思いながら別の本を探していたら本棚の奥から「バカの壁」の初版本がポロッと出てきた。なんだ、真っ先に買って読んでんじゃんか。単なるミーハーだな。でもまったく覚えていないのはどういうわけなんだろう?

脳の覚えた部分がそっくり死んだということだろうか。それならそれでいつも新しい経験ができるのだから常に新鮮な気持ちで人生を送れるのかもしれない。