大阪ではズボンのチャックを閉め忘れている男性に「チャック開いてんでぇ」と指摘すると、多くの場合、「開けてんねん」と言い返されるのだとテレビのバラエティ番組で言っていたが、それは事実だ。

かつて同僚だった大阪・枚方(ひらかた)市出身のフジタくんはもともとだらしない性格で、しょっちゅうズボンのチャックを開けたまま出勤してきたが、「またチャック開いてるよ」と言うたびに「開けてんねん」と答えていたものだった。

そういえば子供の頃にはチャックと呼んでいたがそれはいつの間にかファスナーになっていた。チャックとファスナーは何が違うのかネットで調べてみた。するとYKKのホームページに、チャックは『巾着』をもじった日本語らしいということが書いてあった。そうか、日本語だったのか!

さらに、大阪では職場の上司に仕事の相談をする時には「あのね…」と話し始めるのだとも言っていたがそれも事実だ。フジタくんはいつも店長に報告をする時には「あのね店長…」と話していた。ある時、長野出身の店長がフジタくんに向かって「どうしてキミは真面目な話をする時に『あのね』って言うの?失礼だと思わないの?」と機嫌悪そうに言った。

フジタくんは何でそんなことを言われているのかわからないでポカンとしながら「ねぇ店長、なんで?」と関西弁で聞き返していた。関西で「あのね」は親愛とともに尊敬を表す表現なのだとテレビでは言っていた。そう言えば別の会社の大阪事業部にいた同僚のキソ君も「あのね」を連発していたし、大阪出身の部下にも何度も「あのね」と呼び掛けられた。

ボクは「あのね」と話しかけられると飲みにいく誘いかと思ってしまうことが多かったが、アレが丁寧な物言いなんだということにはついぞ気づかなかった。

こんな日本でもちょっと離れるとここまで変わるものなのかとちょっと恐ろしい気持ちになった。でも今度「チャック開いてるよ」と言われたら「開けてんねん」と言ってやろうと思っているのだが、そんな時に限ってなかなかチャンスがない。