毎年11月になるとボジョレー・ヌーボーの解禁が話題になる。ワインショップや酒屋はもとよりスーパーやコンビニでさえ目立つノボリを掲げたりするのでいやでも目につく。しかしこんなにもボジョレー・ヌーボーで大騒ぎしているのは世界でも日本くらいだという。

”ヌーボー”はいわゆる「初物」である。日本人は初物が大好きだ。初夢や初鰹などの魚や野菜、初セリなどはよく聞くところだが、男は女性のバージン(処女)にも強く惹かれるのだという。特に若い男性には顕著な傾向らしい、という話を聞いたことがある。

初物はいわゆる”旬の走り”であって、決して旬のものではないから必ずしも美味しいものではない。美味しいものではないが日本では”縁起物”という意味合いで珍重される。また「他の誰よりも先に口にしたい」という自己顕示欲の強い人には魅力的に映るのだろう。それは他の人より先に口にすることで自分の優位性を顕示できるからに他ならない。

ボクは初物にはあまり興味がない。お金もないので高いくせに美味しくないものに割高なお金を出す価値を見出せない。それなら旬になってたくさん出回るようになってからの方が美味しい上に安くていいものが手に入る。それこそが旬を楽しむ醍醐味だと思っている。

だから近年のサンマのように記録的な不漁が続いて、例年の旬の時期になってもほとんど獲れないようなものなら時期が来ても無理に食べようとは思わない。決して安くないし第一、美味しくないからだ。

それでも「サンマを食べないと秋が来ないよね」などと言ってバカ高いサンマを食べようとする人もいる。それはそれぞれの価値観だし「本人が食べたい」と思っているのだから何もいう気はないが、なんとも世俗に流されているようで失笑を禁じ得ない。

近年は地球温暖化や気象の変化のせいなのか水産資源や農作物にも影響が出ている。明らかにボクが子供だった頃とは食べ物の旬も変わってしまった。近い将来には食べられなくなってしまうものも出てくるのではないかと思うが、それも自分たち人間が起こしたことの報いなのだから心して受け止めなければならないだろう。