生きとし生けるものは必ず死ぬ時が来る。生まれたばかりの赤ちゃんだって時が経てばいつかは死ぬ時が来る。それがいつなのかはわからない。もうすぐ死ぬのか何十年か経ったあとなのかの違いだけだ。だから生きている者の視界にはいつも必ず死が見えているはずだ。それを忘れているだけである。

年老いて死ぬ時期がある程度わかっている時もあるし、ある時に突然死んでしまう時もある。アクシデントはいつどこで起きるかわからないが、覚悟をして死ぬのではなくさりとて出会い頭に死神とばったり出くわすのでもなく、なんとなくいつの間にか死んでしまうということはないのだろうか。

人は眠りに落ちる瞬間を意識することはできない。いつの間にか眠りいつの間にか目覚める。そんな風に自然に死んでゆくことはないのだろうか。巨視的に見れば自分に死期が迫っていたとしても、それが今すぐなのか今夜なのか1週間後なのか1年後なのかを正確に知ることはできない。夜になって眠くなって眠りに落ちたまま目覚めることなく死んでいくこともある。

そんな時も人は死んだ後になって翌朝、「なんだかいつの間にか死んでたな」と三途の川を渡りながら思うのだろうか。死ぬときに自分が何を思うかはわからない。ただどちらにせよいつかは必ず死ぬことには変わりない。

あの世とこの世を行き来したという故丹波哲郎さんに聞いてみたいところだが、まだこの世に生きている自分には叶わない話だろう。いや今夜あたり、あの世からこの世にフッと戻ってきてそんな話を聞かせてくれるかな。