欲張る人

SNSで話題の行列ができる店に行ってみる。季節の作物を使ったスイーツが人気らしい。店に入ってテーブルに着くと早速メニューを広げてみる。旬の栗を使ったモンブランが目に入った。昔からモンブランには目がない方だ。しかし隣のページには『大人気!今年の松茸は大豊作!』と書かれた松茸を使ったスイーツが載っている。松茸のケーキなど食べたくもないがモンブランとあまり値段が変わらない。それならせっかくだからと松茸のケーキを注文してしまった。

本当は、自分は好きではないのに、自分が本当に食べたいものよりお得でコスパがいいからという理由で好きでもないものを頼んでしまうことはないだろうか。それを選ぶことは結果的に自分が損をしているのではないかとボクは思っている。素直に食べたいものを食べればいいのに、単に高いものを安く食べられるからといって好きでもないものを食べることになんの得があるのだろう。

「赤身なんてマグロじゃない」「やっぱり大間(おおま)の本マグロの大トロが一番」という人がテレビのバラエティ番組にはいっぱい出てくる。食べ物の好みは人それぞれだから人の好みをあれこれ言うつもりもないが、100人が100人とも「本鮪の大トロが大好き!」と言うのはちょっと信じられない。

本人が本当に美味しいと思っているのならそれでいいと思う。でも脂ぎった刺身が嫌いな人が食べれば「なんじゃこりゃ、マズー」となる。でも「高いんだから不味いとは言えないよね」ということになる。それでも高いから(なかなか食べる機会がないから)といって選ぶのだろうか。ボクはタダでくれるといっても嫌いなものは食べたくない。

「化学調味料不使用」というのもある。店の前に「当店は化学調味料を一切使っていません」と大書きしている店もある。中には「化学調味料って舌がビリビリして不味いよね」「化学調味料の入ってるものなんて食べたくない」と言う人もいる。でも化学調味料の味なんてわかるのだろうか。味がおかしくなるほど入れればわかるだろうが、適量の化学調味料は味を深くする(と思っている)。そもそも”化学”というが原料はサトウキビであって、化学薬品などではない。”化学”という名前が大きな誤解を生んでいる。

「化学調味料を使っていないから高くなっちゃうんです」と言うが、それなら適量の化学調味料を使って安くて美味しい料理を出してくれた方がボクはありがたい。それに「化学調味料は大嫌い」と言っている人にカツオと昆布で取った出汁で作った味噌汁と、味の素の「ほんだし」で作った味噌汁を出したらほんだしの方が味が濃くて美味しかったと言っているのを聞いたことがある。

日本人は希少で高いものをありがたがる傾向がある。タダでくれるなら、なんでもいいから高いものがいいという人が実に多い。昔からよく言われているが、大きな葛籠(つづら)にはありがたくないものが入っているのが通例である。舌切り雀でよく知られたお話だが、謙虚で慈悲深く生きることを現代の日本人はすっかり忘れてしまったようだ。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください