オジサンが懐メロ好きなわけ

年末になるとNHKの紅白歌合戦の話題のせいなのか今ではほとんど名前を聞くこともなくなった歌手の方もテレビの画面で見かける機会が増えます。僕は演歌世代(そんなのがあるのかどうかも分かりませんが)ではないので子供の頃から「演歌と軍歌は年寄りが聴くもの」と思っていました。

幼稚園の頃におばあちゃんが歌っていた子守唄は

♪ここは~お国を何百里~、遠く離れて満州の~♪

という随分と威勢の悪い反戦歌でしたし、おじいちゃんや叔父さんたちも島倉千代子や藤山一郎、古賀一郎、田端義夫なんかが好きだったようです。少し経つと僕らの世代には天地真理やら百恵ちゃん、桜田淳子に森昌子なんかがデビューしてきました。それでも歌に深入りし始めたのは中学生になってフォークギターを始めてからだと思います。当時は吉田拓郎やかぐや姫、アリスやさだまさしなんていう人たちが流行の最先端で、当時の小僧どもは「フォークギターを弾けば女の子にモテる」と信じて夢中でギターを掻き鳴らしていました。「エレキを弾くやつは”不良”だ」という世間の常識もあり「高校生にもなってフォークギターだけじゃナメられる」とばかりに、ちょっと”不良”になりたくてエレキを持ってロックに傾倒していったわけです。あの頃が今思えば青春の絶頂期だったのかもしれません。

あれから何十年も経ち、先の人生もそろそろ天井が見えてくる頃、大して見込みもなさそうな先の人生を見たくなくなった時、ふと振り返ると若くてバカだったあの頃が懐かしく思い出されます。前よりも後ろばかりを振り向きたくなった時、あの頃の青春、そして夢中になっていたフォークやロックをふと聴きたくなるのかもしれません。
恐らく、今の子どもたちにとってフォークやロックなんてものは聴いたこともない音楽で、我々世代が演歌に対して感じているようなある種の古さがあるのだと思います。そんな音楽を懐かしそうに聴いているオジサンたちを見ては「年寄りは何でフォークなんか好きなんだろう?」と理解できずにいるのかもしれません。きっとそんな彼ら彼女らがオジサンオバサンになる頃にはラップミュージックも懐メロになっているはずです。

若い頃に聴いた懐メロにはあの頃の思い出が詰まっています。やがて懐かしい過去を思い出さずにいられなくなった時、あの頃のメロディに心癒されるのです。そうして歴史は繰り返されていくんですね。